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Apple独自アーキテクチャの変遷 A6から最新A14までApple Siliconがやってくる(3/4 ページ)

» 2020年09月24日 15時29分 公開
[大原雄介ITmedia]

現在唯一のArmv8.4-Aフル対応? iPhone 11搭載の「A13」

 そしてついこの前まで最新だったのが、2019年9月に発表されたA13に搭載された、Lightning/Thunder。こちらも内部構成は基本的に変わらず、7命令解釈・9命令発行のSuperScalar/Out-of-Order構成である。製造プロセスはTSMCのN7Pになった。ただし命令セットはArmv8.4-A対応になる。

 実はこのArmv8.4-Aにフル対応したCPUコアは、筆者が知るかぎりLightning/Thunderしか存在しない。Arm自身が提供するCPU IPは、最新のCortex-A78であってもArmv8.2-A相当である。Armの命令セットの規約は、「そのバージョンで定義されているすべての命令をサポートしたら、そのバージョンを名乗ってよい」ことになっている。Armの提供するCPU IPの場合、「Armv8.2-Aのフルセット+Armv8.3-A〜Armv8.6-Aの一部の命令をサポート」という形になっている。だからArmv8.3-A/v8.4-A準拠を名乗れないという、ちょっとした逆転現象が起きている。

 ちなみにArm自身は今年投入予定(おそらく10月に開催されるArm DevSummitでお披露目だろう)のMatterhornというコアで、Armv8.6-Aフルサポートを約束している。

新iPad Airに先行搭載、最新の「A14」

 そして2020年9月15日に新しいiPad Airに搭載される形で発表されたのが、TSMCの5nmで製造されるA14である。

photo A14 Bionic
photo A4からA13までの製造プロセスの進化

 ただ現状このA14にどんなCPUが搭載されているのかは不明である。引き続きbigコア×2+LITTLEコア×4の構成になることは明らかにされているが、なにせまだ実機が存在しない状態では性能も内部構成も不明である。GitHubにAppleが展開しているllvm-projectのターゲットファイルを確認しても、まだA13までしか定義が上がっていない。このあたりはもう少し待たないと詳細は出てこないだろう(まずは実機が入手できるようにならないと……)。

 ということでA6〜A14までの一連の流れをご紹介した。ちなみにここまででは省いたが、このA6〜A12とは別に、iPad向けにCPUやGPUのコア数を増やしたり、動作周波数を引き上げたりしたA8X〜A12XとかA12Zという高性能版も存在するが、CPUコアそのものは同一世代のA8〜A12と同一なので、説明からは省いている。

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