実際に推しプロをプレイしてみると、「なぜこのクオリティーを無料で提供できるのか」と疑問を抱く人も多いかもしれない。どれだけプレイをしても課金ポイントが一切発生しないからだ。
無料で提供する理由を尋ねると、片山さんは「幅広い方にpaizaを知ってもらい、プログラミングに触れる機会を少しでも増やしたいからです」と答える。推しプロを含む無料のコンテンツはユーザー獲得のキャンペーン目的で提供しているため、コンテンツ単体での収益化は目指していないという。
同社は現在、社会人向けの「paiza転職」、新卒向けの「paiza新卒」、未経験者向けの「EN:TRY」(エントリー)の完全成果報酬型の求職サービスを手掛け、これらが同社の大きな収益源となっている。
有料の学習サービスとして、個人向けの「paizaラーニング」、企業向けの「paizaラーニング for TEAM」を提供する。さらに、ユーザーが実際に書いたコードからプログラミングスキルを評価する「スキルチェック」も無料で提供。一定のランクを超えると、企業からの求人オファーがユーザーへ届く仕組みになっている。
つまり、paizaは推しプロをはじめゲームコンテンツや学習サービスでエンジニアの集客・育成を図り、スキルチェックで評価した上で、就職・転職を支援するITエンジニアのためのプラットフォームを提供していたのだ。
今後もpaizaはコンテンツを増やし、プログラミング初心者の裾野を広げると同時に、ハイレベルなエンジニアのスキルをさらに引き上げていきたいと考えている。
「アメリカのエンジニアは、大学でコンピュータサイエンスを学んでいるのが当たり前ですが、日本はそうではありません。特にAIの領域ではコンピュータサイエンスの知識が必須になってくるので、paizaを通じて少しでもその世界に触れる機会にしてもらえたらと思います」(片山さん)
次はどんなコンテンツを作る予定か尋ねたところ、こんな回答が返ってきた。
「“とっつきにくいものをとっつきやすく”というのは、paizaが得意とするところです。例えばCOBOLという言語を学ぶ人は少なくなっていますが、金融系システムはCOBOLでできていることも多く、メンテナンスできる人がいなくなると困ってしまいます。長渕剛さんがCOBOLを学んでいたという話を耳にしたので、もしCOBOL講座を作れたら、いつかコラボレーションできたらなとも思っています」(片山さん)
最先端を追いかけるだけでなくレガシーな技術にも目を向けるのは、男社会のエンジニアの世界の扉を女性にも開いてきた、paizaならではの発想といえるかもしれない。
「エンジニアの多様性が進めば、日本から次のGAFAが生まれるのも夢ではないと思います」と片山さんは語る。「ベトナムには女性エンジニアがたくさんいます。女性だからプログラミングができないことはないはずです。ITとは無縁だった人たちがプログラミングを学び、それぞれの業界の知見を持ち寄れば、いろいろな場面でイノベーションが起きると信じています」(片山さん)
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