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次世代機で盛り上がるゲーム業界、今後は何がトレンドに? 「東京ゲームショウ」で有識者が議論(2/3 ページ)

» 2020年10月01日 12時09分 公開
[周藤瞳美ITmedia]

VRやソーシャル化による次世代のゲーム体験

 続いて話題はVRやソーシャル化などによる「ゲーム体験」へと移った。

 “VR元年”と呼ばれた2016年から4年。20年1月には、ソニー・インタラクティブエンタテイメントが「PlayStation VR」(PSVR)の世界販売台数が500万台を突破したと発表した。10月には、米Facebookが一体型VRヘッドセットの新製品「Oculus Quest 2」を発売する予定だ。

 ゲームジャーナリストとしての活動の傍ら、Thirdverse(東京都新宿区)の代表取締役としてVRゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」を開発する新さんは、Oculus Quest 2がPCやケーブル不要のスタンドアロン型であることに着目。「スタンドアロン型では没入感が上がる。ソード・オブ・ガルガンチュアでも、例えば剣を振り回す動作においては、体を動かせば動かすほど入り込んでいくような気分になる」とスタンドアロン型VRヘッドセットのメリットを語った。

 簗瀬さんはVRについて、その用途の広がりに期待しているという。

 「ここ2〜3年でコミュニケーションにVRを使う人が増えてきた。もともとOculusは比較的技術に強い人が使っている印象だったが、最近ではゲームをやっていなかったような人が『VRChat』を使っているという話もある。コミュニケーションの手段としてVRを利用し、そこからゲームに入っていくという流れも今後生まれてくるのでは」(簗瀬さん)

 西川さんは「FacebookがOculusを買収した背景には、VRをコミュニケーションに活用したいという狙いがあったのでは」と考察した。

 「コロナ禍によってバーチャルの世界が注目されたが、どうしても物理的な距離ができてしまう。しかし、VRでは存在感的なものも伝わる。Facebookは人と人とが触れ合えるような感覚をVRでもたらしたいという目標があるのではないか」(西川さん)

 一方で、オンラインゲーム「Fortnite」や「あつまれ どうぶつの森」に代表されるように、ゲーム自体においてもコミュニケーション要素が増えつつあるといえる。

 こうしたトレンドについて簗瀬さんは「ネットワークを通じたコミュニケーションが当たり前になる中、ゲームにおいても同様の現象が起きていくことは自明。フォートナイトは、コミュニケーションを目的としたものではなかったが、体験共有の場が起点となりコミュニケーションが発展した」と分析した。

 「逆にFacebookのようなコミュニケーションの場がゲームの場になっていくケースもありえる。人が集まればゲームの場になるし、ゲームの場があれば人が集まる。ゲームとソーシャルの垣根は今後なくなっていくのでは」(簗瀬さん)

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