ITmedia NEWS >
レビュー
» 2020年10月06日 07時00分 公開

スマートウォッチみたいな血圧計、オムロン「HeartGuide」の実力を測る

家庭向け血圧計の中で唯一のウェアラブルタイプが、オムロン ヘルスケアの「HeartGuide」だ。見た目も利用シーンもとがった血圧計を1カ月試用した。

[佐々木千之,ITmedia]

 「うーん、血圧ちょっと高いなあ。血圧計を買って、自宅でも血圧を測るようにしてくださいね」——かかりつけのお医者さんはこう言った。

「HeartGuide」(HCR-6900T-M)。すっきりしたデザインで従来の血圧計のイメージはない

 50歳超えた中高年フリーランスの私は、居住地の自治体が実施する「特定健康診査」を毎年受けているのだが、7月に受診した時に高血圧を指摘された。実は1年前にも同様の指摘を受けていたのだが、先延ばしにしていたのだ。思い出して、2年前からの3年間の数値記録を見ると、上(収縮期血圧)も下(拡張期血圧)もこの3年で徐々に上がっている。10年位前までは、標準的な数値の下限あたりだったことを考えるとまったく喜べない状況だ。

 急に「ちょっと、いや、本気でマズイんじゃないだろうか」と不安になった私は、家庭向け血圧計を物色し始めた。データを紙でなく、スマートフォンやPCに取り込んで残しておきたいので、Bluetooth接続によるアプリ連携は必須だ。そんな中、ひときわ目立っていたのがオムロン ヘルスケアのウェアラブル血圧計「HeartGuide」(HCR-6900T-M)だ。

見た目も利用シーンもとがっている

 HCR-6900T-Mの価格は7万9800円(税別)。一般的な家庭向け血圧計の2〜3倍はする高価な製品だが、やや大きめの腕時計か、スマートウォッチといった外見で、知らない人が見たら、まず血圧計とは気付かないだろう。外見だけでなく、常に身に付けて思い立ったときにすぐ血圧が測定でき、そのうえ歩数や睡眠時間を計測できるという、非常にユニークな製品だ。

 血圧計と聞いて、おそらく多くの人が思い浮かべるのは、二の腕に面ファスナー付きの腕帯(カフと呼ぶ)を巻いて計測する、上腕式血圧計だろう。成人なら健康診断で使用したことがあるはずだ。家庭向けとしては、上腕式の他に手首にカフを巻いて計測する手首式血圧計がある。HCR-6900T-Mは手首式だ。

 血圧は、腕に巻かれたカフに空気を送って膨らませ、血管を圧迫した後に緩めながら、血管に発生する音(血管音)や心臓の拍動で起こる血管壁の振動(脈波)をセンサーで検知することで計測する。そのため、腕を圧迫するカフにはどうしてもある程度の大きさが必要だし、カフに空気を送るエアーポンプも必須。従来の製品では手首式といえども、リストバンドサイズのカフと、それに見合うサイズの本体がくっついたものが一般的で、手首に付けたままにできるような腕時計サイズのものはなかった。

ベルトの内側に付いているのが血圧測定時に空気で膨らむ「カフ」。カフが腕に直接触れて汗でべたつかないよう、さらっとした生地で作られたカバーが付いている

 HCR-6900T-Mはカフやバンドの幅が約30mm、丸い本体部分は直径が約48mmで厚さ約14mm、重さはカフカバー込みで約118gと小型軽量だ。

 大きめの腕時計かスマートウォッチのような外観も“血圧計離れ”している。操作ボタンは本体の右側に3つあるが文字は書かれていない。それどころか本体には製品名やOMRONのロゴもない(OMRONロゴはベルトを固定する遊革に控えめに入っている)。主に中高年が使うことが想定される血圧計は、大きなボタンに大きな文字が書いてある製品がほとんどなのを考えるとこれも異色だ。

ヘルスケア製品の箱はほとんど白ばかりだが、HCR-6900T-Mの箱は黒。パッケージングもスマートフォンやITガジェットに近い

一度設定すれば後は簡単、スマホとの連携は必須

 血圧は継続して計測し、変化に注意することが重要だ。一般的には起床して1時間以内と就寝前、1日2回の計測が基本とされている。毎日決まった時間に計測して記録を取ることが求められるため、めんどくさがりな筆者としては、測るたびに収納場所から出してきて使わなくても、常に身に付けられて、スマホとつながって計測値をアプリで管理できるHCR-6900T-Mのような血圧計がうれしい。

 オムロン ヘルスケアの血圧計用アプリには、血圧計の他体重体組成計や活動量計などと連携してデータ管理できる「omron connect」があるが、HCR-6900T-Mには専用のアプリ「HeartAdvisor」が用意されている。アプリを起動したら、まずOMRON connectアカウントを作成してログインし、HCR-6900T-Mとペアリング。こうしておけばアプリを起動するたびに、自動的にHCR-6900T-Mから測定データを読み出し、保存してくれる。

 CR-6900T-Mを装着するには、カフと手首の間に人差し指が1本入るくらいの余裕ができるよう、ベルトの締め付けを調節しておく必要がある。添付の紙製メジャーを手首に巻いて、表示された数字に従えばよいので作業は簡単。手首のサイズはそうそう変わるものではないので、1度調節すれば後はそのまま使い続ければいいだろう。

知らない人なら腕時計、ガジェットをちょっと知ってる人ならスマートウォッチだと思うだろう。腕時計などと違うのは、腕とベルト(やカフ)の間のすきまが大きいこと

 筆者はここ数年、時刻確認はスマホを頼っていて腕時計は使っていない。そのためHCR-6900T-Mを手首に付けたときは若干の違和感があったが、2日ほどで気にならなくなった。

 肝心の血圧測定だが、実は最初、“実に健康的な数値”が出て戸惑った。もちろん、本当にその数値なら問題ないのだが、ここ数年上昇している数値よりも明らかに低い。念のため同じくオムロン ヘルスケアに借りた上腕式血圧計で測った血圧と比べると、上も下も10〜20mmHgくらい低くなってしまっていた。

測定した血圧と心拍数の画面。正常値の範囲ならこのように緑色の表示だが、高くなるとオレンジや赤での表示となる。この表示の色はアプリと共通だ

 原因は測定時の姿勢。HCR-6900T-Mの計測では、付けた側の腕を胸の前に斜めにし、本体が心臓と同じ高さになるようにする必要があるのだが(写真参照)、腕の位置を上げすぎていたようだ。初めは鏡の前で腕と本体の位置の関係を確認しておくと良いと思う。

このような腕の位置で測定する。最初、左手を右肩に引っかけるような位置にしてしまい、血圧が低く測定されてしまった

 腕の位置(本体の高さ)さえ正しければ、血圧測定は非常にスムーズに行える。本体横の測定ボタンを押すと、はじめにごく軽い締め付けがあり、いったん緩んだ後にしっかりとした締め付けがあって、それが緩めば計測終了だ。

 1回の計測はほぼ1分、ちなみに計測開始時にモーターのような音が0.5秒ほどする(それでも大きくはない)が、その後はかなり静か。テレビなどの音があれば、近くの人でも気付かないレベルだ。

 計測した血圧は、本体内のメモリーに100件分記憶するということだが、本体では最新の数値1つだけしか見ることはできない。これは歩数や睡眠時間の数値でも同じで、本体だけでなく、アプリと連携して使うことが前提となっているのだ。

 最初の失敗があったので、念のため毎回2度ずつ計測していたが、それでも掛かる時間は3分以内だ。HCR-6900T-Mは手首に付けたままなので、上腕式血圧計と違って取り出したり、しまったりする手間や時間もかからない。操作も静かに座ってポーズを取り、ボタンを1度押すだけ。いつでもどこでも気楽に測定できるのがいい。

 オムロン ヘルスケアによると、ウェアラブル血圧計を開発した理由は、ビジネスマンの多くが計測できない「日中の血圧変動」を知るためだという。しかし1カ月ほど試用して、それだけではないことが分かった。常に身近にあるウェアラブル血圧計なら、面倒な測定も続けられる。血圧測定を習慣づけるのにかなり有効だと思う。

 次回はスマートフォンアプリ「HeartAdvisor」や、血圧以外の測定項目についてお伝えする。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.