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「iPhone 12」と「iPhone 12 Pro」を1週間たっぷり使って体感した「今年のカメラ」(3/3 ページ)

» 2020年10月25日 11時58分 公開
[大石結花ITmedia]
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今年のカメラはナイトモードとHDR

 今年のカメラ機能は、静止画はナイトモード、動画はDolby Vision対応HDRが注目の的だ。

 iPhone 11世代と同じように、iPhone 12は広角と超広角の2つのカメラを搭載し、iPhone 12 Proはさらに望遠を加えたトリプルカメラ搭載だ。全てのモデルの広角カメラが、iPhone 11世代では f/1.8だった絞り値が、f/1.6まで開放できるようになり、さらに暗いところでも躊躇(ちゅうちょ)することがなくなった。120度の視野角を持つ超広角レンズは、ひずみ補正が改善され、ナイトモードも利用できるようになった。フロントカメラを含めた全てのカメラでナイトモードを撮影できるようになり、暗いところでもいろんな画角を楽しめる。

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 iPhone 12 Pro はさらに「LiDAR」が加わった。iPad Proに搭載された当初は、カメラ機能には使われていなかったが、iPhone 12 ProではARの用途以外にも、暗所のフォーカスやポートレートモードでも活用されるようになった。

 iPhone 12とiPhone12 Proで、真っ暗な部屋でポートレートモードを起動すると、LiDARのすごさが分かる。さすがに夜に全てのライトを消してテスト撮影したため、使えるレベルの写真ではないが、被写体が写っていること自体に驚く。

photo 真っ暗な部屋(左)でも、LiDARを使うとここまでをポートレートモードで撮れる
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筆者がiPhone 12と12 Proのカメラ性能を比較したYouTube動画

 今年の年末にかけて、「Apple ProRAW」という新しい RAWのフォーマットもiPhone 12 Proラインで使えるようになる予定だ。iPhoneのコンピュテーショナルフォトグラフィーは、「Smart HDR」や「Deep Fusion」の技術を使い、暗所や逆光のような難しい状況でも勝手に明るさやホワイトバランスを調整してくれる。Apple ProRAW形式で保存できるようになると、コンピュテーショナルフォトグラフィーで使用した情報を使い、自分好みに調整することが可能になる。

 動画カメラとしてのアップデートは、10bitのDolby Vision HDR動画を撮影できるようになった。iPhone 12では4K 30fpsまで、iPhone 12 Proでは4K 60fpsまで撮影可能だ。

 Dolby Vision HDRでは、撮影するときに1フレームごとのカラーヒストグラムを作り、リアルタイムでグレーディングしている。このコンピューティングパワーこそが A14 Bionicチップの凄さだ。また、Super Retina XDRディスプレイでHDRを再生することもできるため、1台でHDR動画を撮影し、撮影と同時にポスプロで行っていたようなグレーディングを行い、編集、再生、アップロードまでできてしまう。こんなカメラは唯一無二の存在で、IP68の耐水性まで持ち合わせているとなれば、カメラとディスプレイのスペックだけでも元を取れてしまうくらいだ。

 HDRの難点は、iPhone以外のデバイスにクリップを持っていくときに、編集ソフトやディスプレイなどが対応していない場合があることだ。HDRとして書き出し、アップロードし、HDR対応のディスプレイで視聴しないと本来の良さを発揮できないので、視聴者の環境に依存する。

真の評価は年末に?

 小型の「iPhone 12 mini」と大型センサーを備えた「iPhone 12 Pro Max」の発売は11月6日。視聴者の方からいただいたコメントを見ると、miniのサイズ感や、Pro Maxだけに追加されたセンサーシフト手ブレ補正の性能が気になっている方が多いようだ。また、Apple ProRAWの提供開始が年末からになるため、全ての機種が出揃い、Apple ProRAWを使えるようになるまで、iPhone 12 シリーズの評価は完成しないこととなりそうだ。

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