冒頭に紹介した、Corne Cherryの少ないキー数を最大限に活用するカギがこのレイヤー機能だ。厳密にはキーマップの一機能だが、これを使いこなせば自分の自作キーボードをより自分色にカスタマイズできるようになる。
レイヤーは特定のキーと組み合わせたりすることで動作する機能だ。あまりピンと来ない人は、一般的なノートPCなどでFnキーを押しながら一部のキーを押すと画面の明るさや音量などを調整できるのを想像してもらうといいだろう。
この場合ではFnキーを押しっぱなしにしたときに、キーボードの一番上の行がF1〜F12のキーから輝度調整などの特殊キーに一時的に置き換わる。QMK Firmwareのレイヤー機能ではこれをキーボード全体に拡張できるということだ。
例えばトリガーとなるキーを押すとレイヤーが切り替わり、同じ場所のキースイッチでも異なる文字や記号を入力できる。トリガーキーを離せばレイヤーは解除される。レイヤーは最大32レイヤーまで定義可能で、市販のキーボードではまねできないレベルまで作り込むこともできる。
トリガーの仕方もさまざまで、先述したように特定のキーを押しっぱなしにする単純なものから、短押し・長押しを区別して別のキーを入力、短押しの後に長押し(Tap&Hold)、短押しの回数による切り替え(Tap Dance)など、文字だけでは伝えるのが難しいものもたくさんある。ぜひ、自分自身にあったキーマップを作り込む際に試してほしい。
ゲーミングキーボードにしばしば搭載されているマクロ機能ももちろんある。一連の入力をまとめるのが一般的なマクロ機能だが、QMK Firmwareではより強力なマクロを組むことができる。
具体的にはミリ秒単位でキーの押下を制御したり、if文で分岐させたりなど、少しプログラミングの知識があると何でもできる機能だといえる。
他にも多くの機能があり、例えばゲーミングキーボードのようにLEDを光らせたり、色を変化させたりすることもコードを数行書くだけで実現できる。Corne Cherryにも搭載されている、小さい有機ELディスプレイに文字や画像を表示させることもできる他、キースイッチではなくロータリーエンコーダーと呼ばれる回転ノブを入力として扱う機能も標準搭載されており、ボリューム調整などに使うことができる。
ハードウェアの実装によっては他の機器とも通信できたりするなど、つまりはコア機能をQMK Firmwareに任せればマイコンでできることはほぼできてしまうのだ。
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