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刑務所用語だった「ロックダウン」(lockdown)、閉じ込めたり閉じこもったりIT基礎英語

» 2020年11月24日 07時00分 公開
[鈴木聖子ITmedia]

 今年の流行語大賞は案の定、新型コロナウイルス関連の用語ばかりが並んだ。世界的な流行が続く中で、英語辞典サイトのCollinsが選んだ今年の単語も「lockdown」だった。

 新型コロナの感染拡大を封じ込めるため、世界中の政府や自治体がlockdownに踏み切った。日本の主要メディアは単純に「ロックダウン(都市封鎖)」と言い換えているけれど、Collinsの定義によると、公衆衛生対策としてのlockdownは「the imposition of stringent restrictions on travel, social interaction, and access to public spaces(移動、社会的交流、公共の場の利用に関して厳格な規制をかけること)」の意味で使われる。

 国や自治体によっては住民が居住地から出ることを禁止したり、どうしても外出が必要な場合は証明書の携帯を義務付けたりといった厳格な行動制限を科し、警官が取り締まりを行っていた所もある。まさに自宅に閉じ込められているような状態だ。

 それもそのはず。lockdownの文字通りの意味は鍵をかけて閉じ込めること。Collinsによると、もともとは刑務所で使う用語だったとか。

lockdown was originally a piece of prison vocabulary: it’s when inmates are confined to their cells because of some disturbance on the wing

lockdownはもともと、受刑者が所内で騒ぎを起こして監房に閉じ込められる際の刑務所用語だった

photo Collins Word of the Year 2020に選出された「lockdown」

 新型コロナ対策以外でも、lockdownの単語は、例えば銃乱射や爆発といった事件や事故に関連した報道でよく見かける。犯人がどこに潜んでいるか分からない、いつ爆発が起きるか分からないといった危険がある現場の建物や周辺の一帯を封鎖して、一般の立ち入りを禁止する措置がlockdownと呼ばれる。

 一方、コンピュータ用語でlockdownといえば、主にセキュリティ対策を目的としたシステムの封鎖、つまり機能制限のこと。こちらはlock downという動詞として使うことも多いようだ。例えばWindows 10(EnterpriseとIoT Enterpriseエディション)のlock down機能を利用すれば、管理者がユーザーの行動を制限して余計な操作ができないようにしたり、想定外の使い方をされないように画面表示を設定したりできる。

There are many reasons for locking down a device, such as protecting the system from malicious users, providing a custom defined user experience, and increasing system reliability.

 デバイスのロックダウンには、悪質なユーザーからのシステム保護、専用のユーザーエクスペリエンス提供、システムの安定性向上など、さまざまな理由がある

photo Microsoftのlock down機能

 スマートフォン向けにも「Lockdown」というアプリがあって、他人にiPhoneやAndroidを勝手に使われないようにアプリを封鎖する機能や、ユーザーを追跡しようとするアプリやWebサイトを封じ込めてプライバシーを保護する機能をうたっている。でも閉じ込めたり閉じ込められたりのlockdownは、コロナ対策にしてもコンピュータセキュリティ対策にしても、加減が結構難しい。

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