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ハエの飛躍に注目、討論会で話題をさらった“fly”IT基礎英語

» 2020年10月30日 13時07分 公開
[鈴木聖子ITmedia]

 アメリカの大統領選挙が11月に迫り、ニュース報道も熱を帯びてきた。そんな中で気になってしまったのが、“fly”にまつわる話題だった。

 発端は、副大統領候補者の討論会で、共和党のマイク・ペンス副大統領の頭にとまった1匹のfly(ハエ)。熱弁を振るうペンスさんの頭の上で、2分3秒ほどじっとしていたらしい。視聴者の注目はハエに集まり、「@MikePenceFly」のアカウントが登場し、Tシャツやハエ付きかつらなどのflyグッズが次々に売り出された。

 これにすかさず便乗したのが野党民主党のジョー・バイデン前副大統領の陣営だった。討論会の直後、公式Twitterにハエたたきを持つバイデンさんの写真を掲載し、「Pitch in $5 to help this campaign fly」と寄付を呼びかけた。「ハエ」と「飛ぶ」の両方の意味があるflyの単語に引っかけて、「キャンペーン(選挙運動)の飛躍のために5ドルの寄付を」というわけだ。

photo ハエたたきを持つバイデン候補

 さらにバイデン陣営は、「Truth Over Flies Fly Swatter」というハエ叩きまで売り出した。「Truth Over Flies(ハエを超える真実)」というフレーズは、自分たちの陣営が掲げる「Truth Over Lies(嘘を超える真実)」というキャッチフレーズをもじったもの。そしてこれはもともと、トランプ大統領陣営のバイデン叩きキャンペーン「Truth over Facts(事実を超える真実)」をもじったフレーズだった。ハエ叩きは即座に売り切れたらしい。

 バイデン陣営の言葉遊びは止まらない。ハエ叩きを売り出した経緯について、陣営はこう説明している。

We saw the internet and our supporters sharing a viral moment online, so our digital team came together on the fly.(CNN

インターネットを見ると、支持者たちが話題の瞬間をオンラインで共有していた。そこで我々のデジタルチームが大急ぎで集まった。

 ここでの"on the fly"は「すぐに」「大急ぎで」といった意味。事態が進行している状況の中、飛び込みで入った仕事や用事に対して事前の準備や計画もないまま対応するというニュアンスがこもる。

photo Wikipediaによるon the flyの定義

 一方、コンピュータ用語にも“on the fly”の表現がある。こちらも処理を進行させながら逐次的に対応するニュアンスで、例えば「on-the-fly recording(オンザフライ書き込み)」といえば、HDDからCD-Rなどにデータを書き込む際に、リアルタイムでデータ形式を変換しながら同時並行で書き込み処理を行う方式のこと。

 ところでflyという単語は、日本語にはない"f"と"l"が連なっているので、日本人にとっては発音しにくい。下手に発音すれば「fry(揚げ物などのフライ)」と混同してしまう。チラシやポスターの「flyer」も、調理器具の「fryer」も、日本語にすれば「フライヤー」なのでややこしい。

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