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我々はメールをどうしたらいいのか? 今使っているアカウントで10年後も乗り切れるか考えてみよう新連載「サイバーセキュリティ2029」(2/2 ページ)

» 2020年12月24日 09時47分 公開
[宮田健ITmedia]
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令和時代のメール考

 振りかえると、個人利用においてはもはや電子メールをほとんど使わなくなっているのではないかと思います。親しい間柄ならば、LINEやiMessage、SMSで事足りるでしょう。メールボックスを見てみると、サービスからのお知らせやメールマガジン、そしてスパムメールくらいしか入っていないのではないでしょうか。もしかしたらもはやメールは「サービス登録でしか使ってない」ものになっているかもしれません。

 それでも携帯キャリアのメールならば残るだろうと個人的にも思っていましたが、NTTドコモが21年3月に開始を予定している新プラン「ahamo」(アハモ)では、なんとキャリアメールが使えないといいます。おそらく若者を中心に考えると、キャリアメールの利用頻度も相当に落ちているということでしょう。

 つまり、「短いメールアドレスは間違われやすい」「独自ドメインよりもフリーメールのほうが安心して運用できる可能性が高い」「そもそもメールの利用頻度は落ち、知人の連絡手段になっていない」のが令和時代のメールが置かれた立ち位置であるとも考えられます。そして主な用途は「サービスの登録」。そこで私はメールの利用方針を変えました。非常にバッドノウハウ感が強い内容ですが……。

(1)Apple、Microsoft、GoogleのIDは、それぞれが用意したドメインのメールをそのまま使う

 まずは、スマートフォンやPCを利用する上で避けては通れないアカウントに関して、Appleの場合は「@icloud.com」、Microsoftの場合は「@hotmail.co.jp」(など)、Googleの場合は「@gmail.com」と、独自ドメインではないものに戻しました。自分の管理よりは、セキュリティにしっかり投資しているIT企業のほうが正しい管理をしているだろうからです。もはやこれらの“フリーメール”が信頼できないとする人も少ないでしょう。

(2)新たに「長いユーザー名」のメールアドレスを取得する

 これまで所持していたメールアドレスはそれなりに短く、しかも名前を基にしているため、別にやや長めの名前に由来しないIDを持つメールアドレスを取得しました。これであれば、第三者が間違って登録する可能性は低くなるはずです。

(3)主要ではないWebサービスは新規の「長いユーザー名」メールで登録する

 そして、今後はそのメールアドレスをWebサービスの登録に使うようにします。主要ではない既存登録分も、ちまちまとメールアドレスを変更しました。きっかけは「(あまり有用ではない)メールマガジンが届いたら」でいいと思います。

副次的効果も(たぶん)ある

 こうすることで、メインのメールボックスは徐々にきれいになっていくはずです。その上で間違いメールが来たとしたら、フィルタを使って見えないようにしてしまいましょう。

 これはもう一つの効果として、私たちを苦しめる「パスワードの使い回しをやめよう!」という、正論だけどなかなか実現できないことの改善にもつながるはずです。つまり「パスワードの使い回しはそのままだけど、IDを使い回さない!」。新しくIDを作り直している形ですので、これまで漏えいしたIDとパスワードのセットとは無関係になります。

 一時的には、ほんの少しですがサイバー攻撃への耐性も付くはずです(時間がたち新IDでの漏えいデータが広まると元通りですので、お金と人生に関わるサービスだけはパスワードを使い回さないことをお勧めします!)


 世界を変えることができなければ、自分だけでも変わる必要があるでしょう。そんな非常に後ろ向きな対応ではありますが、この機会に登録サービスを見直し、不要なものはどんどん解約するというきっかけにもなるはずです。

 メールというのは非常に古い仕組みで動いており、セキュリティ的にも根本的な対策がなかなか浸透せず、いまではマルウェアが侵入するきっかけのほとんどがメールという状況です。本来ならばもっと革新的ななにかが代替手段になるといいのですが、それが登場するまでは暫定的に泥縄な対策が求められるのかもしれません。

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