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「重なっても影ができない」プロジェクションマッピング 東工大が開発Innovative Tech

» 2021年01月28日 16時04分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 東京工業大学 渡辺研究室の研究チームが開発した「Dynamic Projection Mapping with Networked Multi-projectors Based on Pixel-parallel Intensity Control」は、複数台のプロジェクタを使い、対象物の前に物体があっても影を作らず動的シーンを投影するダイナミックプロジェクションマッピングシステムだ。影を除去しながら対象物全面に投影し続ける。

photo 1台のプロジェクタだと前の物体による影が後ろの物体に影響を与える(左)複数台のプロジェクタを用いた本システムでは、影の影響を与えず全体を投影できる(右)

 動く物体に追従し、ぴったり張り付いているかのように投影するダイナミックプロジェクションマッピングでは、対象物の前に物体があると影が生じる。

 こうした影を除去するための手法として、複数の高速プロジェクタを用いる。実験では、10台の高速カメラと、ネットワーク化された4台の高速プロジェクタを周囲に配置。カメラで対象物の位置と向きを追跡し、それらを受け取ったコンピュータは、2つの画像を360fpsで生成し投影する。結果、影で隠れていた箇所も投影され、異なる視点でも対象物全体に画像が張り付いているかのように見える。モーションから投影完了までのレイテンシ(遅延)は10ミリ秒を達成したという。

photo 複数台の高速カメラと高速プロジェクタによる本システムの構成

 各プロジェクタの各ピクセルに対する投影輝度は並列処理による分散化ができるため、計算量が増大してもネットワーク接続によりプロジェクタの数を増やせる。

photo 4台のプロジェクタによる貢献度を各色で表している

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