この記事は新野淳一氏のブログ「Publickey」に掲載された「クラウド市場でアリババがIBMを抜き去り、AWS、Azure、Google、アリババの4強が明確に。2020年第4四半期、Synergy Research Groupとcanalys」(2021年2月8日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。
クラウド専門の米調査会社Synergy Research Groupは2月2日、2020年第4四半期のクラウドインフラに関する調査結果を発表しました。
クラウドインフラとは、IaaS、PaaS、ホステッドプライベートクラウドを合わせたものと同社は定義しており、この1年で市場全体が35%成長し、市場規模は約370億ドル(日本円で約4兆円)に拡大しました。
主要なクラウドベンダーのシェアを見ると、米Amazon Web Services(AWS)が約32%で首位。次が米Microsoftで約20%。米Googleが約9%で3位、4位には中国Alibabaが約6%で位置しています。
5位に米IBM、6位以下には、中国Tencent、米Oracle、NTT、中国Baidu、SAP、富士通、そして米Rackspaceなどが含まれています。
しかしグラフ内で「Others」の線が示す6位以下のシェアは全体としては継続的かつ急速に下がっており、5位のIBMも下がっていることを考慮すれば、市場が上位4強の寡占化を強めていることが分かります。
さらに上記のグラフを見ると次の2つの点を読み取ることができます。
1つは、主要なクラウドベンダーの中でMicrosoftの成長率が目立って大きい点、そしてもう1つは、この1年でAlibabaが明確に(シェアを一貫して下げてきた)IBMを抜き去り、4位の位置を固めたことです。
この2点は、別の調査会社であるcanalysが発表した20年第4四半期の調査結果でも示されています。
canalysの調査結果もクラウドインフラとしてIaaS、PaaS、ホステッドプライベートクラウドなどを含んでいます。
同社が発表した20年第4四半期における成長率を示したグラフが下記です。過去1年の成長率は、AWSが28%に対し、3位のMicrosoft Azureが50%、3位のGoogle Cloud、4位のAlibaba Cloudもそれぞれ58%、54%と高い成長率を見せています。
下記がcanalysによる2020年第4四半期におけるシェアのグラフ。前述のSynergy Research Groupの調査結果と数字の差異はあるものの、ここでもAWS、Micrsoft Azure、Google Cloud、Alibaba Cloudが4強であることが明示されています。
4位から滑り落ちたIBMは、すでにクラウドのマネージドサービス事業を分社化することを発表しています。分社化をきっかけにシェア上昇へと逆転できるか、3位以下のシェアはまだ変動する可能性があるでしょう。
一方、AWSとMicrosoftは安定して高いシェアと成長率を維持しており、短期的に両社の立場が大きく変動することはなさそうです。
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