米国のバイデン政権が“alien”を締め出すことにしたらしい。といっても映画に出てくるあの「エイリアン」に戦いを挑むわけではない。報道によると、移民法の改正などを通じ、これまで公文書で使われていた「alien」(外国人)という用語を「noncitizen」(非市民)に置き替える方針を打ち出した。
米国の法律では、alienを「any person not a citizen or national of the United States」(米国の市民権や国籍を持たない人)と定義している。けれどこの単語は外国人排斥や人種差別の歴史の中で使われてきた経緯もあり、外国人を非人間扱いするニュアンスがあるとして批判も根強かった。特にalienを好んで使っていたのがトランプ前大統領だったとか。
The Trump administration referred to unauthorized immigrants as "illegal aliens" and described border crossings as an "invasion." (Axios)
トランプ政権は不法移民を「非合法エイリアン」と呼び、国境越えを「侵略」と表現した。
一方、バイデン政権は一転してalienの使用をやめると通達し、不法滞在外国人を意味する「illegal alien」の用語は、「undocumented noncitizen」という用語に置き替えることにしたという。
Oxfordify英語辞典によると、alienの語源は、ラテン語で「別の」「他の」を意味する副詞の「alius」に由来する。そしてその名詞形として使われているのが「alias」(エイリアス)だ。
aliasといえば、Macでよく使うアプリケーションやファイルに簡単にアクセスできるようにするため、デスクトップ上に作成するあのアイコンのこと(Windowsではショートカットと呼んでいる)。
英語のaliasには「別名」「通称」「偽名」などの意味がある。Macのほかにも、例えば電子メールで元々使っているアドレスの分身アドレスを作成できる機能や、LinuxなどUNIX系OSで使うコマンドを別名で登録できる機能もaliasと呼ばれる。
Macで作成したaliasは、不要になったら削除すればそれで済む。一方、alienについてはアメリカの前政権が不法滞在外国人の摘発に力を入れようとして、2017年に「removable aliens」(排除可能なエイリアン、つまり強制送還対象となる不法滞在外国人のこと)による犯罪被害相談のホットラインを開設したことがあった。
このホットラインに電話が殺到してつながりにくくなったのも無理はない。Twitterには「小さな緑色の火星人が泥棒に入った」「スーパーマンに蹴られた」などの被害を訴える投稿が続出、宇宙人や雪男の「証拠」画像や映像が続々と投稿される騒ぎになったとか。
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