このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
米Disney ResearchとスイスETH Zurichによる研究チームが開発した「RobotSculptor」は、ロボットアームを使い、柔らかい粘土を直接削って造形する彫刻システムだ。
機械で彫刻工芸品を制作する場合はCNCフライスでの加工が行われているが、石などの硬い素材に限られている。粘土のように柔らかい素材では、粘着性の問題によってきれいに切断することが非常に難しい。
加工中だけ凍結させる方法もあるが、RobotSculptorは粘土をそのまま加工していく。6自由度のロボットアームで実行可能な運動軌道を生成し、彫刻プロセスを自動化する。造形したい形状の3Dデータから衝突を回避したロボットアームの軌道をシミュレーションし、実際に彫刻していく。
ロボットアーム先端に取り付けて削る道具のループツールも、プロの彫刻家が使用するさまざまな種類を用い、適宜取り換える。粘性と可塑性を持つ粘土の特性上、ループツールが出入りする工程が最終的な外観に影響するため、切断速度を3〜8cm/sに制限することで、目に見える損傷を許容できるレベルまで低減した。
また、同じ形状でも異なる軌道スタイルでの彫刻が可能だ。
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