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» 2021年03月02日 07時00分 公開

コロナ禍でマクロレンズが売れた 「CP+ 2021」で見えたカメラの今荻窪圭のデジカメレビュープラス(1/2 ページ)

CIPA(カメラ映像機器工業会)の人が様々な統計データを見ながらカメラ界の動向を解説してくれる「マーケティングセミナー」が面白かった

[荻窪圭,ITmedia]

 2020年は直前に中止となったカメラ映像写真界の一大イベント「CP+」(シーピープラス)。2021年はリアルとオンラインで同時開催する予定だったが、再び非常事態宣言が出たことで、オンライン開催のみとなった。

CP+のWebサイト(画像は会期中のもの)。ログインするとCIPA主催のセミナーを視聴したり参加各社のCP+特設サイトへ行けた

 会場で多くの実機に触れ、メーカーのメッセージを直接受け取ってこそのCP+という人も多いと思うが、実機に触れられないCP+はどうだったか。それが思ったより充実した時間を過ごさせていただきました。

 多くの人にとってCP+はパシフォコ横浜の広大な展示会場に各カメラメーカーが大きなブースをでんと構えて製品紹介やハンズオン、発表したばかりの話題の新製品には行列ができ、時には奥に参考出品展示が隠れてたりってイメージだし、わたしもそういう記事を何度も書いてきたのだけど、実はそれだけじゃないのだ。

 CP+では常に3つの出来事が起きている。

 1つはさっき書いた展示会場、1つは展示会場内のステージや各社ブースのミニステージで行われるセミナー、最後は展示会場とは別の会議棟では様々な会議室で事前登録制のセミナーだ。

 展示会場のセミナーは来場者向けのオープンなもの。対して会議室で行われるセミナーはすべて事前登録制で中には有料のものもある専門家向けのもの。これらのセミナーを目当てにして参加する人も多い。

 今回のオンライン開催は、展示会要素はないものの、オンラインセミナーが充実した、セミナー部分を抽出したイベントなのだ。そこが分かっていれば、オンライン説明会やオンラインセミナーをはしごするというオンラインならではの利便性と楽しさを味わえる。

 特に25日の初日はCP+主催の基調講演、マーケティングセミナー、パネルディスカッションの3つが開催された。特に注目したいのは「CIPAマーケティングセミナー」と各社のエンジニアが出席した「パネルディスカッション」。なかなか興味深い内容だったのでちょっと紹介したい。

カメラはおじさんのものになった?

 リアルイベントでは事前登録&人数制限ありなんだけど、オンラインなら何人でも参加できるし、CP+に登録してあれば、その多くは後からオンデマンドで視聴することも可能だ(公開期間はセミナーによって異なるが)。

 中でもなかなか見られないのが「マーケティングセミナー」。CIPA(カメラ映像機器工業会)の人が様々な統計データを見ながらカメラ界の動向を解説してくれるのである。普段はマーケティング関係者のみに向けたセミナーだったが今回はオンライン開催ということで公開範囲を拡げ、当日は参加人数を限定したウェビナーを使ったセミナー、その後YouTubeでもCP+の登録者向けに公開されたわけで、これは見逃せない。

 まずはCIPAが公表しているカメラの出荷数量の推移。見ての通り、2009年はリーマンショックの関係もあって一時的に下がっているけれども、2008〜2010年をピークに、出荷数量が伸びたときと同じ勢いで下がってる。iPhone 3Gの登場が2008年なので、スマホの普及と見事に連動してるのが分かる。

これが基本のグラフ。急激に大きくなったデジタルカメラ市場が急激に収縮したのが見てとれる

 ただでさえ下降線を辿っているところに、多くの人がカメラを持ち出す旅行や各種イベントがコロナ禍で中止になってるのだから、2020年は特に落ち込んでおり、新型コロナウイルスに追い打ちをかけられて痛すぎる結果だ。

 これだけ極端な動きを見せる業界はなかなかない。

 さらにマーケティングセミナーだけあり、もっと細かい数字を出して現状を分析してくれた。

 その中から非常に興味深かった話を1つ。カメラ購入者の年齢別構成比と男女別構成比の移り変わりだ。

 セミナーで示されたレンズ一体型カメラ(いわゆるコンパクトデジカメ)とレンズ交換式カメラ(いわゆるデジタル一眼)の2005年から2020年までの男女別構成比の推移がこれだ。

左がコンパクトデジカメ、右がデジタル一眼。性別の構成比の変動が興味深い

 コンパクトデジカメの女性比率は2013年まで2〜3割弱で推移しているが、デジタル一眼では2010年からぐっと伸びている。

 そして2014年にはデジタル一眼の方が女性比率が高いのだ。

 その頃、何があったかというとオリンパス「PEN」である。初代PENが2009年、エントリー向けの“PL”(PEN Lite E-PL1)が2010年に登場。そのヒットが大きいと思う。

 様々な観光地で目撃した印象からすると、「EOS Kiss X」とオリンパスのPLを急に見かけるようになった時期だ。

 でも、ここ2年でデジタル一眼の女性比率が下がってる。

 さらに年齢層別のグラフも興味深い。

左がコンパクトデジカメ、右がデジタル一眼。年齢別構成比の変遷だ

 コンパクトデジカメはここ数年60歳以上の構成比がすごく上がってる。コンパクトカメラの市場自体が急激にシュリンクしたことを考えると、30歳未満はほぼコンパクトデジカメを買ってない。手にしているのは中高年以上の層だけだ。

 デジタル一眼を見ると、そこまで極端ではないが、2020年にカメラを買った人の半分以上が50歳以上ってのはちょっと衝撃的かもしれない。

 特に2020年のコロナ禍で旅行などに行けなくなったため、若い層、中でも女性が写真を楽しめなくなったのではないかと語られた。確かに2020年に急に40歳未満の層が今までで一番少なくなっている。

 カメラ業界にとって、コロナ禍の影響を一番受けた世代がそこだったのだ。

 他にもアンケート調査の結果などいろいろあったけれども、コロナ禍の影響を受けてどうなったかを踏まえて、そのあとに行われたパネルディスカッションを見るとまた面白いのである。

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