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カムフラージュ画像を深層学習で自動生成する「Deep Camouflage Images」Innovative Tech

» 2021年03月11日 23時28分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 中山大学と華南理工大学による中国研究チームが開発した「Deep Camouflage Images」は、画像の前景にオブジェクトを紛れ込ませたカムフラージュ画像を自動生成する深層学習システムだ。

photo 一見自然の画像に見えるが、よく見ると動物の顔が複数合成されている

 この技術で定義しているカムフラージュ画像とは、画像に別の物体を紛れ込ませるもの。隠れた物体が完全に見えないわけではなく、凝視すると「なんとなく分かる」程度の画像を生成する。

 今回のモデルは、一見すると判別できないが、よく見ると隠れた物体を発見できるカムフラージュ画像の生成を提案する。モデルの基本構造は、前景オブジェクトを背景に覆い隠す設計だが、隠れている物体を知覚するための手掛かりとなるように、わずかな特徴を残すカムフラージュロスを設計している。

photo 完全に分からないようにするのではなく、凝視するとだんだん分かってくるカムフラージュ画像を目指したモデル設計を構築している

 生成されたカムフラージュ画像は、背景画像の質感や色、光の当たり方が前景オブジェクトに適応され背景画像に溶け込む仕上がりとなる。前景オブジェクトは巧妙に組み込まれ、難易度の高いカムフラージュ画像に仕上がっているのが分かる。

 本手法とカムフラージュ画像を生成する既存手法、Style Transferの手法で生成した合成画像とを比較した結果、本手法が一番調和しつつも凝視すると前景オブジェクトを発見できる絶妙なカモフラージュ画像を示し、その有効性を実証したとしている。

photo (上段行)従来のカムフラージュ画像を生成する手法と比較した図(下段行)従来のStyle Transfer法で合成した画像と比較した図。右端が本手法の出力結果

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