このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
オランダ・デルフト工科大学の研究チームが開発した「Learning Interaction-Aware Trajectory Predictions for Decentralized Multi-Robot Motion Planning」は、複数のドローンと多数の人間が行き交う環境で共存するための衝突回避モデルだ。ドローン同士が通信することなく、飛行中のドローンが別のドローンや人間などの障害物と衝突せず安定し飛行できるようにする。
多数のドローンが飛び回る環境では、ドローン同士や人間などの障害物と衝突しないよう、隣接するドローンや人間の運動を予測し回避することで安全を確保しなければならない。このような予測は、ドローン間の通信で将来の計画軌道を共有すれば実現可能だ。しかし、突発的な事態に対応できないかもしれないし、信頼できないかもしれない。
ドローン同士の相互作用と障害物を考慮した機械学習による軌跡予測モデルと、モデル予測制御(MPC)フレームワークと組み合わせることで、動的環境における安定した衝突回避モデルを実現する。
まず、マルチロボット衝突回避シミュレーターを用い、ドローンの軌跡からなるデモデータセットを生成。生成されたデータセットを使用して、リカレントニューラルネットワーク(RNN)を訓練する。最後に、この軌跡予測モデルとMPCフレームワークを組み合わせる。
歩行しながら行き来する人間2人と、その共有空間を飛行する3台のドローンを用いた環境で実験したところ、各ドローンが衝突前に移動し位置を変え続けながら安定して飛行することに成功したという。
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