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木のモザイク画を1枚の木板から効率的に作成 精密な寄木細工システムを構築Innovative Tech

» 2021年03月12日 13時45分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 独ボン大学の研究チームが開発した「Computational Parquetry」は、顔や動物などをかたどった精密な寄木細工によるモザイク画を作るシステムだ。再現したい画像を基に1枚の木版から必要な色と形のパーツを効率的に切り抜き、人間がそれをパズルピースのように並べることで1枚の寄せ木細工を完成させる。

photo (中央)完成品(左下)材料の木板(右下)再現する画像

 寄木細工は、さまざまな種類の木材を組み合わせて、それぞれが持つ色や木目を生かしながら模様を描く木工技術。古くは200年前からあり、日本の伝統工芸品としても知られる。

 今回は、1枚の木板と画像を基に木材のカットパターンを生み出す技術を提案した。

 用意する木板は、標準的な単板(厚さ0.6〜0.8mm)。再現したい画像の特徴と、フラットベッドスキャナーで読み取った木版の木目を照らし合わせ、必要なパーツを探す。木板と入力した画像では色域などが異なるため、輝度補正を行うことで、高いコントラストのモザイク画が作れるという。

 こうして作成した設計図を基に、木板からパーツをレーザーカッターでくり抜いていく。木版状の必要な箇所だけくり抜くため、くり抜かれた後は穴だらけの木板が残る。くり抜いたピースは人力でフレーム内に並べていく。ウッドパテで固め、サンディングし、クリアコートやハードワックスで仕上げる。

photo モザイク画の制作工程

 完成品は、髪の毛や眉毛などの細かい部分も忠実に再現され、コントラストや解像感が高く、異なるサイズと形状の各パーツが独特な仕上がりを見せている。

photo 肖像画と動物のターゲット画像と完成品

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