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ドローンを家庭で自動製造できる工作機 MITとMicrosoftの「LaserFactory」Innovative Tech

» 2021年03月12日 16時24分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 米MIT CSAILと米Microsoft Research Cambridgeの研究チームが開発した「LaserFactory」は、ドローンなどの電子デバイスを自動製造できる、個人向け工作機械だ。既存のレーザーカッターにカスタマイズしたヘッド部分をアドオンして使う。

photo カスタマイズしたヘッド部分

 電子デバイスを作るためには、デバイス本体の作製、導電性回路の作成、構造体への電子部品の配置という3つのステップを踏む。この3つの工程を自動的に行う個人向け工作機械は他に存在しないという。

 これらを実現するために、既存のレーザーカッターにカスタマイズしたヘッドを実装する。ヘッドには、ディスペンサー(液体定量吐出装置)やピックアンドプレース(つまみ挿入)機構が含まれている。

 小型ドローンを自動製造する作業工程を以下に示す。最初に標準のレーザーカッター機能で、ドローンのボディーを形状通りに切断。次に、ディスペンサーから半液体の銀ペーストを押し出して電子回路を形成する。その次は、レーザーカッター内の部品収納部からローターやバッテリーなどの部品をピックアップし、適切な場所に配置する。最後に、はんだ付けを行って完成。最初の設計は人間が行う必要があるが、その後は完成まで自動で製造できる。

photo (a)ドローンのボディー形状を切断。(b) 半液体の銀を押し出し回路を形成。(c)電子部品をピックアップし適切な場所に配置。(d)はんだ付け。(e)完了すると、電子デバイスは即時機能する
photo 製造パイプライン

 小型ドローン製造の他に、ジェスチャー認識が可能なリストバンドや、トランジスタと抵抗を配置したプリント基板の製造に成功したとしている。

photo LaserFactoryで試作したドローン、ジェスチャー認識リストバンド、プリント基板

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