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庭の水やりで身近なIoTを体験、自動水やりシステムの構築 〜水分センサーの取り付け〜名刺サイズの超小型PC「ラズパイ」で遊ぶ(第40回)(1/2 ページ)

» 2021年04月30日 12時00分 公開
[岩泉茂ITmedia]

 ラズパイは低価格で拡張性の高いコンピュータのため、IoTデバイスの頭脳としてもよく活用されています。IoTというと大きな規模のサービスなどをイメージしがちですが、この連載で紹介してきた気温・湿度・気圧センサーによる環境測定や暗視カメラによる撮影、motionを使った動き検知など、個人がラズパイを使って構築したセンシングの仕組みも立派な「Internet of Things:モノのインターネット」といえるでしょう。

 とまあ何となく大上段に振りかぶった感じでの始まりとなりましたが、今回のテーマは「ラズパイに水やりを管理させる」です。筆者のマンションのベランダには、カミさんが買ってきたバラ、ツツジやらの鉢植えの他、私が育てているクレマチスが並んでいます。

 主に私が管理しているクレマチスの鉢植えには当然水やりをしなければいけないのですが、これが正直言って面倒です。水をやりすぎると根が腐るのでアカンと言うし、水をやらないともちろん枯れてしまいます。このあんばいがなんとも難しくて面倒くさい。いつ水をやったのか、ついつい忘れてしまいます。

Raspberry Pi 筆者の家にあるクレマチス。2年くらい前に買ったので2シーズンの冬を越そうとしつつあり。丈が伸びてしまったので先日刈り込みした

 まあそんなことを考えるやつは鉢植えを買ってはイカンと言われそうですが、それはさておき「何とかなんないかな〜」と考えて思い付いたのは「ラズパイに管理させて自動で水やりをする」ということでした。そこでいろいろと調べたところ、土中の水分を測定できるセンサーがありまして、これがあれば鉢植えの水管理はできそうです。まあ、でも考えたら農業系のIoTとしてはよくあるパターンですよね。

 ただし土の中の水分を測定するセンサーはアナログ接続です。ラズパイにはアナログインプットがないので、デジタル⇔アナログ変換をしなければいけません。そこで登場するのがA-Dコンバーターです。A-Dコンバーターにはいろいろな種類がありますが、今回は一般的に使われている「MCP3002」を利用します。土中の湿度を測定するのは、秋月電子通商で販売されている「静電容量式土壌水分センサー SEN0193」(以下、SEN0193)を使います。

 水分センサーはパルス電圧を使用して、水分による電極間の静電容量の変化を簡易的に測定しています。土中の電気的な抵抗を調べるセンサーもありますが、そちらはイオン化傾向によって電極が腐食してしまい、測定できなくなることもあるようです。今回使うセンサーは静電容量の変化を調べているので、その影響を考える必要がありません。

Raspberry Pi 今回使うセンサー「SEN0193」
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