ではSEN0193を使っていきましょう。ラズパイとの接続ですが、SPIを使います。以前I2Cでの接続について、大気の温度、湿度、気圧を測る「BME280」を例に解説したことがありますが、ラズパイと何かのデバイスをつなげて使うためにはこのI2Cと、今回紹介するSPIを通じてやりとりすることになります。
SPIはSerial Peripheral Interfaceの略で、I2Cのようにいくつものデバイスをぶら下げて使えますが、I2Cと違うのは「マスター」と「スレーブ」という形式でやりとりをすることです。ラズパイで使うときはもちろんラズパイがマスター、デバイスがスレーブです。そして以下の4線を通じてのやりとりとなります。
ラズパイでは、SCLKはGPIO 11(23番ピン)、CSはGPIO 8(24番ピン)、MOSIはGPIO 10(19番ピン)、MISOはGPIO 9(21番ピン)です。
ではまずSEN0193とMCP3002、ラズパイをつなげていきましょう。MCP3002のピンアサインは以下の画像の通りですので、VDDを3.3Vに、DOUTをGPIO 9(21番ピン)に、DINをGPIO 10(19番ピン)に、CS/SHDNをGPIO 8(24番ピン)に、VssをGND(25番ピン)につなぎます。
そしてSEN0193ですが、赤、黒、青の3本の線が出ています。赤は3.3Vに、黒はGNDに、青はMCP3002のCH0(2番ピン)につなぎます。全てつないだ状態が以下の写真です。
つなぎ終わったらテストとして、以下のプログラムを走らせてみましょう。これはSEN0193で測定される値の上限と下限を見るためのものです。「spitest.py」のようにファイル名を付けておきましょう。
#!/usr/bin/env python # -*- coding: utf-8 -*- import time import subprocess from gpiozero import MCP3002 Vref = 3.3 try: while True: sen0193 = MCP3002(channel=0) hum = round(sen0193.value * Vref * 100,2) print(str(hum)) time.sleep(1) except: KeyboardInterrupt subprocess.call('clear')
このプログラムを起動したら、SEN0193を水につけてみます。水につける限界ですが、チップなどがついている下に白線が引いてありますので、そこが限界線です。すると以下のような表示が出たかと思います。
$ python spitest.py 254.88 254.88 255.2 254.88 255.2 255.2 255.2 255.2 127.84 127.2 127.52 148.48 154.28 154.28 250.68 254.55 254.88 255.2 255.2 …………(以下無限ループ)
水につけていない状態の値が255、たっぷりと水につけた状態が127ということが分かります。そこで255に近ければ「Dry」、127に近ければ「VeryWet」と表示するようにしてみましょう。またこの中間点あたりであれば「Wet」と表示させることにします。
これを踏まえて以下のプログラムを作りました。GPIOの値ですが、以前解説したときは「RPi.GPIO」ライブラリを使いましたが、今回はGPIOを扱えるもうひとつのライブラリ「gpiozero」を使います。理由はMCP3002のライブラリが用意されているためです。なお、値の判定はif文を使って分岐させています。
#!/usr/bin/env python # -*- coding: utf-8 -*- import time import subprocess from gpiozero import MCP3002 Vref = 3.3 # 値の最大値と最小値 dry = 270 water = 119 interval = (dry - water) / 3 wet = water + interval lbdry = dry - interval try: while True: pot = MCP3002(channel=0) hum = round(pot.value * Vref * 100,1) if (hum > water and hum < wet): print("very Wet") elif (hum > wet and hum < lbdry): print("Wet") elif (hum < dry and hum > lbdry): print("Dry") time.sleep(1) except: KeyboardInterrupt subprocess.call('clear')
これで土の中の状態が分かるようになりました。次回はLEDやLCD(液晶ディスプレイ)などを取り付けて、状態をもっと分かりやすくしてみます。
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