皆さんは「Raspberry Pi」(以下、ラズパイ)という名刺サイズの小さなコンピュータを知っていますか? 見た目は部品むき出しの基板のように見えますが、これはマイクロコンピュータ(マイコン)と呼ばれる、れっきとしたコンピュータです。知識と技術さえ身に付ければ、ラズパイとセンサーなどを組み合わせたオリジナルデバイスを作ることができます。
今やスマートフォンアプリで何でもできてしまう時代ですが、一から自分の手でデバイスを作り上げ、試行錯誤しながらアイデアを具現化する楽しさは格別です。この連載では、テーマや用途にあわせてラズパイの活用方法から具体的な工作手順までを紹介します。
今回はラズパイで「気温・湿度・気圧」を測る専用デバイスを製作する手順を紹介します。タイトルでピンと来た方もいるかもしれませんが、私は「ゆるキャン△」というアニメの影響でキャンプにハマっており、年がいもなくソロキャンを始める始末。キャンプは高校生ぶりです。
屋外で長時間を過ごすキャンプで一番気になるものといえば天気です。これまでに何回かはいきなり雨に降られるなんてことがありました。これから寒くなる季節なので、安全のためにも気温などを把握しておくことは重要。そこで、キャンプ場の現地データを測定しようと思い付いたわけです。スマホでも同じことはできますが、それはやぼというもの。
ラズパイはいくつかモデルがありますが、最新は「Raspberry Pi 3 ModelB+」というモデル。Amazon.co.jpや家電量販店、秋月電子通商などで購入できます。価格は4500円程度で、一般的に想像されるコンピュータの価格とは異なります。
この他に廉価版の「Raspberry Pi Zero WH」もあり、こちらは2000円程度で手に入ります。違いは本体サイズの他、SoC(System on a Chip)が異なること、またUSBポートが1つしかないなどの違いがあります。
OSはLinuxの「Debian」(デビアン)をラズパイ向けにカスタマイズした「Raspbian」(ラズビアン)で動作します。C++やPythonといったプログラミング言語のプログラムを走らせることができます。
ラズパイに接続して気温・湿度・気圧を測定するには、ボッシュ製の「BME280」というセンサーモジュールを搭載したチップを使います。電子部品を取り扱う秋月電子通商では、「AE-BME280」という名前で販売されています。これを「I2C」というシリアル通信の仕組みを使ってラズパイ側にデータを取り込み、Pythonのプログラムを利用して記録します。
CSV形式でのファイルを作成することができますが、できれば小型のディスプレイを接続して、リアルタイムなデータを表示できればうれしいですよね。そこまで到達できるように、この連載で頑張ってみましょう。
この他に「ブレッドボード」という、電子部品を差し込むだけで電子回路をテストできる装置が必要となります。数百円程度ですので、これもそろえておきましょう。
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