いわゆる“インターネット老人会”片足を突っ込んでいる立場から現在のサイバー空間を見ると、さまざまな常識が大きく変化してきているのを感じます。「SNSといえばmixi」だったころに比べると、トレンドも振る舞いも大きく変わり、もはや若い方たちがフル活用しているサービスには追い付けないことを、身をもって理解できるようになりました。
今もTwitterのタイムラインに「えっ、PCでもTwitterが見られるんですか?」のような投稿が流れてきており……。
さて、「ITセキュリティ」に関するさまざまなことも、例外なく常識が変化すると考えています。今回は来るべき近未来、こう変わってくれるとうれしいという“常識”をいくつか考えてみたいと思います。
まずは「脆弱性」を考えたいと思います。近未来がやってきたとしても、脆弱性は減ることはあまり期待していません。これまでに存在したような分かりやすい脆弱性は努力で絶滅できたとしても、新たな、想像もつかないような手法が登場するのは間違いないでしょう。私たちは脆弱性と、うまく付き合っていかねばならないと思っています。
最近話題になった脆弱性としては、インターネットルーターなど周辺機器を販売しているバッファローが発表した、一連のものがあります。
この問題はやや根深く、「ドキュメント化されていないデバッグ機能を有効化される問題」があるとしています。より直接的には「バックドア」に近い動作ともいえるかもしれません。それよりも問題なのは、この問題を修正するアップデートは提供されず、対策としては「製品の使用を停止する」しかないという点です。
こう書くと、バッファローの対応はひどいと思うかもしれません。しかし、来るべき近未来ではこの対応が当たり前と考えられるようになるでしょう。実際のところ、この発表で挙げられた製品群はいまから17年近く前に発売されたもので、もちろんサポートも切れています。新しい常識は「インターネットに接続される機器はサポート期間が終了してしまうと脆弱性に対するアップデートが配布されないため、そうなる前に買い換える」ことかもしれません。
もちろん、今回の脆弱性の内容である「ドキュメント化されていないデバッグ機能を有効化される問題」は褒められたものではありません。また、ベンダーによってはサポート期間内でもアップデートが提供されない/提供が遅れることも良くないことであると思っています。もう1つの新常識は、こういったサポートも含めてベンダーを判断することかもしれません。その判断は非常に難しいですが、安いだけで選んではならないということです。
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