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電気刺激によって勝手に動く指の動きで生体認証 シカゴ大学が技術開発Innovative Tech

» 2021年06月16日 09時12分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 米シカゴ大学の研究チームが開発した「User Authentication via Electrical Muscle Stimulation」は、前腕の筋肉に電気信号を流し刺激することで反応する指の動き(不随意運動)を計測する筋電気刺激(Electrical Muscle Stimulation、EMS)を用いた生体認証法だ。同じ電気刺激を与えてもユーザーによって異なる動きをする筋電気刺激の特性を生かした認証だ。

photo 前腕に電気刺激を与えることで反応する指の動きをVR HMDのフロントカメラで捉え認証している様子

 研究チームは、チャレンジ&レスポンス認証に生体情報を応用するアプローチにおいて、筋電気刺激を介してユーザー認証を行うシステムを設計した。このシステムは、着用者の前腕の筋肉を刺激(チャレンジ)し、結果として生じる指の不随意運動(レスポンス)を測定し認証を行う。

 ハードウェアは、筋電気刺激デバイス、慣性計測装置(IMU)などの指の動きをキャプチャーするモーションセンサー、ユーザーの動きを分類して認証を行う訓練された機械学習モデルの3つで構成する。

 今回のプロトタイプは、個別に制御可能な8チャンネル搭載の筋電気刺激デバイスと、5本の指それぞれに指輪を介して装着する慣性計測装置を使用する。

photo 慣性計測装置を利用したEMS認証システムの実装例

 どのチャレンジに決定するかは、4つの前腕の筋肉、6つの電気刺激、7つのタイムギャップの組み合わせ約6800万通りから1つをランダムに選択。

photo 認証のためのパイプライン

 さまざまな生体認証攻撃に対しての脆弱性を評価する実験を行ったところ、ユーザーを模倣するなりすまし攻撃が成功率0.17%、使用されたチャレンジに対するレスポンスの記録を直接IMUに再生するリプレイ攻撃が成功率0.00%、データを合成して認証モデルを攻撃する合成攻撃が成功率0.2〜2.5%と、どの攻撃に対しても強固な数値を示したという。

 本システムを継続(24日間)して使用する認証実験も行い、時間の経過とともに起きる筋肉状態(疲労、湿度など)に対しても、非常に安定したパフォーマンスを示したとしている。

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