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猫みたいにボールを回して遊ぶロボット 東大など「Circus ANYmal」開発Innovative Tech

» 2021年04月15日 09時10分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 東京大学とスイス連邦工科大学チューリッヒ校による研究チームが開発した「Circus ANYmal」は、4足ロボットがあお向けで手足を使ってボールを器用に扱えるようにするシステムだ。ボールのバランスを保つだけでなく、さまざまな方向に多様な速度で回転させ、実行中に横からボールや足を突いても落とさず維持する。

photo 本手法は、猫や赤ちゃんがあお向けで遊ぶ操作方法からヒントを得て、その器用な技術を4足ロボットに適応させた

 近年、4足ロボットの研究が進み高速歩行や転倒回復、困難な地形での歩行などの運動能力に優れた成果が発表されているが、手足を使った器用な操作能力の技術は不足している。猫があおむけの状態でボールや猫じゃらしで遊ぶといった行動は、今の四足ロボットには困難だ。

 4足ロボットをあおむけにした状態で、手足を使ってボール(重量3kg、直径0.8mのゴム製を使用)のバランスをとりながら操作可能なシステムで、接触センサーを用いずに強化学習で運動ポリシーを訓練した。 

 ボールを固定して持っているだけでなく、手足を使ってロール、ピッチ、ヨー方向に速度を変えて回転させるなどの難度の高い実験で、有効性を実証したという。2分以上の操作実験を行い、その間にボールや足を突くなどの妨害を行なってもバランスを保ち回復する結果も確認した。

photo 棒でボールを突かれてもバランスを保ち回復し落とさない様子
photo 棒で足を突かれてもバランスを保ち回復し落とさない様子

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