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「スマートウォッチは操作に両手が必要」問題を解決? 腹や太ももをマウスパッドにする技術

» 2020年07月17日 12時00分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 英セント・アンドルーズ大学、韓国KAIST、ドミニカ共和国Soluciones GBH、東京工業大学による研究チームが開発した「WristLens」は、ジェスチャー操作での入力を可能にする手首装着型デバイスだ。スマートウォッチやフィットネストラッカーなど手首に装着するウェアラブルデバイスにジェスチャー操作機能を追加するような用途を見込んでいる。

 手首に装着するウェアラブルデバイスは、一般的にもう片方の手を使ってタッチ操作する必要があるため両手がふさがってしまう。本システムは、この課題を解決するため、デバイスにジェスチャー認識機能を搭載する試みだ。

 光学式モーションセンサーをデバイスのリストバンド部分に組み込むことでジェスチャー認識を可能にする。ジェスチャーが有効にすると、ユーザーはコンピュータでマウスを操作するように、手首のデバイスを任意の表面に押し当て操作できる。

photo WristLensの外観

 光学式モーションセンサーを押し当てる表面は体でも問題ない。歩いているときは腰や腹をマウスパッド代わりに押し当てて自然に使えるという。

photo お腹や腰を表面として利用し操作する様子
photo 左手に装着のWristLensでペンの太さを変えながら、 右手のタッチペンで描いている様子

 着座中にはテーブルに押し当てて使用できるため、左手にWristLens、右手にマウスの両方を駆使して、ズーム、回転、パンなどの両手操作も行える。他にも、物理オブジェクトの表面をなぞり、センサーが移動した距離を測定し3D形状を読み取れる3D測定ツールとしても利用可能だ。物理的に指を接触させずに操作できるため、衛生面を注意するシーンでも利用できる。

photo 物理オブジェクトの表面をなぞり3D形状を測定する様子

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