愛知県豊田市は2020年9月から21年4月にかけて、衛星データをAIで解析するシステムを活用した水道管の漏水調査を行った。市内の556区域を調査したところ、154区域の259カ所で漏水を発見。従来の調査方法だと約5年かかる作業を7カ月程度で完了できたという。システムを提供したイスラエルのITベンチャー・Utilisの代理店であるジャパン・トゥエンティワン(愛知県豊橋市)が6月16日に発表した。
調査では、まず人工衛星から地下1〜2mまで届くマイクロ波を照射し、対象地域の画像データを取得。次に反射されたマイクロ波の特徴と、取得した画像をUtilisが独自開発したAIで分析し、半径100mの範囲で漏水のある場所を特定。最後に水道管の敷設データと照合して人間が現地調査した。水道水とそうでない水はマイクロ波の反射の仕方が異なることを利用した手法という。
愛知県豊田市ではこれまで、担当職員の目視や異常音を基に漏水を調査してきた。しかしこの方法だと、水道管の種類によっては漏水を見つけるのが難しく、特に山村部では調査に時間がかかっていたという。
今回の手法では漏水の可能性がある場所を事前に絞り込めるため、作業が効率化でき、これまで数年ごとに行っていた調査を四半期ごとに行える可能性もあるという。豊田市水道局は今後、漏水箇所の修理を進める他、より効率的な調査の方法も模索するとしている。
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