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水質管理、カメラとAIで異常検知 国内ベンチャー「競合いない」第3回 AI・人工知能EXPO

» 2019年04月04日 13時33分 公開
[井上輝一ITmedia]

 人が生活すると、必ず汚水が発生する。これを流すのが下水道で、汚水を河川に放流できるよう浄化する施設が下水処理場だ。下水処理場から放流していい水質には基準が設けられており、水質管理には高価な化学センサーが必要だ。

 この水質管理を、カメラとディープラーニング(深層学習)でできないか──こんなことに着目したベンチャー企業AnyTech(東京都渋谷区)が、水質を判定できるAI(人工知能)を開発した。すでに水処理施設への導入事例もあるという。「第3回 AI・人工知能EXPO」(東京ビッグサイト、4月3日〜5日)に出展し、技術を紹介している。

AnyTech代表取締役で、水質判定AI「DeepLiquid」を開発した島本佳紀さん

 AnyTechの設立は2015年。早稲田大学で液体の研究をしていた島本佳紀さんが立ち上げ、水質判定AI「DeepLiquid」(ディープリキッド)を開発した。

DeepLiquidによる水質判定イメージ

 水質判定に用いるのは、一般的に用いられる可視光の監視カメラと、その映像を処理するコンピュータのみ。カメラで撮影した水面の動画をリアルタイムにディープラーニングで処理することで得た、100種類超のデータから水質異常を検知するという。

 水質の異常が水面の映像だけで分かるものなのか? 島本代表取締役は「水面の浮遊物や、泡の大きさ、波の動き方から分かる水の粘度などから、長く水質を見てきた職人さんであれば見て分かることもある。この判断をAIでできるようにした」と話す。

 現在は、水質異常検知後の判断や処理は人間が行うとしているが、「将来的には水質異常の処理にもAIで対処できたら」(島本代表取締役)と、AIによる水処理の全自動化を展望する。

 「従来のセンサーに比べて、人件費や管理コストを削減できるのが強み。カメラ映像のみで水質異常を検知するAIでは競合がいない。今のうちに世界中のシェアを取りに行きたい」(同)──展開市場の水質判定は“ブルー・オーシャン”のようだ。

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