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”食の禁忌”をディープラーニングで解決 原材料も分かる「食品判定AI」の今後第3回 AI・人工知能EXPO

» 2019年04月03日 18時52分 公開
[村上万純ITmedia]

 ムスリム(イスラム教徒)やベジタリアンなど食の禁忌を持つ人たちは、コンビニやスーパーなどの店頭で商品を購入する際に、口にして良い食品かどうかを確認する必要がある。日本語が分からない場合は、商品パッケージの裏側にある原材料名をスマートフォンの翻訳アプリなどを使って翻訳しなければならない。

 こうした手間は、小売にとっては購入機会の損失にもつながる。そうした課題を解決するため、NTTドコモはスマートフォンで撮影するだけでムスリムやベジタリアンが購入可能な商品かどうかを見分ける「食品判定システム」を開発し、専用アプリで提供している。同アプリのデモは「第3回 AI・人工知能EXPO」(4月3〜5日、東京ビッグサイト・青海展示棟)で体験できる。

ムスリム 商品が複数あってもそれぞれ認識できる
ムスリム 商品棚

原材料データを表示 「購入の判断はユーザー主体で」

 食品判定システムは、ムスリム向けサービスを展開するフードダイバーシティ(東京都台東区)が提供する、ムスリム・ベジタリアン向けレストラン検索アプリ「HALAL GOURMET JAPAN」内の一機能として提供している。

ムスリム システムの仕組み

 ドコモが開発した「商品棚画像認識エンジン」を活用。ディープラーニングの手法を用い、スマホカメラで撮影すると商品棚の画像を認識し、商品画像のデータベースと照合、商品を囲う枠の色で食べられるかどうかを判断できる。青色ならムスリムもベジタリアンもOK、赤色はムスリムのみOK、白色はいずれも口にできないか、未登録など認識できず判断できない商品という意味だ。例えばムスリムなら豚肉エキス、ゼラチン、ショートニング(動物由来のもの)、洋酒などはNGな原材料になる。

ムスリム 原材料データをいちいち確認するのは面倒
ムスリム 商品の原材料データをアプリ内で表示する

 食べられる商品の場合、原材料データも表示してくれる。ドコモの担当者は「何が食べられて、何が食べられないかの判断には個人差がある。原材料データを表示することで、その商品を購入するかどうかは最終的に利用者が判断できる」と説明する。

 200〜300種の商品に対応しており、今後は1000種に拡大する予定。小売メーカーなど商品データを提供してくれるパートナー企業を探しながら、対応商品を順次拡大させていく考えだ。アレルゲン食品の判定などにも応用できるとしている。

 「食べられないものを食べられると誤認識してしまうのが一番良くないので、データがないものや認識できなかったものは全てNGと判断するようにしている。ビジネスとしてはまだ実験段階なので小売などと手を組んでいきたい」(同担当者)

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