一見、何の変哲もない点字ブロックだが、よく見ると少し色の違う部分が。実はこの部分は太陽光パネルになっており、内部に備えるBluetoothビーコンへ電力を供給しているという。こんな点字ブロックが、交通インフラに関わる事業者や製品が集まる「交通インフラWEEK 2021」(東京ビッグサイト、6月23〜25日)で展示されている。
このBluetooth搭載点字ブロックを開発したのは、IoT機器の開発を手掛けるACCESS(東京都千代田区)やセイコーホールディングスなど4社。通行人に商業施設のクーポンなどを配信できる他、視覚障害者の補助にも役立つという。詳しい仕組みや今後の展開を、ACCESSの山田淳一室長(ハードウェア企画開発室)に聞いた。
点字ブロックに埋め込んだのは、Bluetooth Low Energy(BLE)を使ったビーコン。太陽光パネルの他に蓄電池も搭載するため、頻繁に電源を交換する必要がなく、防水機能を備えるため悪天候時でも動作するという。
点字ブロックのサイズは約300(幅)×300(奥行き)×7(高さ)mmで通常の点字ブロックと同じ。すでにブロックがある場所に導入するときにはブロックを1枚貼り替えれば対応できる。
このBluetooth搭載点字ブロックは、健常者にも障害者にも役立つという代物だ。
健常者向けには、ビーコンを受信したスマホでメッセージアプリ「LINE」を開くと、今いる商業施設のクーポンやイベント情報を受け取れる仕組みを開発中だ。
障害者向けには、クーポンだけでなく位置情報も発信。スマホで受信すれば、現在地をアナウンスする音声が流れる。受信と同時にLINEの公式アカウントから点字ブロックがある場所の情報をテキストで送信する。
山田室長は「点字ブロックは足で踏んで行き先を確認できるが、これまで自分の位置情報までは詳しく分からなかった。この点字ブロックを使えば、自分がいる場所がどこの点字ブロックなのか分かる」と話す。
すでにこのビーコン内蔵点字ブロックは、JR大阪駅など複数箇所で実証実験を行っており、商談も数件進んでいるという。「今後は『障害者にも健常者にも公平なサービス』を目標に、駅や空港などの公共施設や大型商業施設への設置も目指す」(山田室長)
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