一方でローカル5Gには課題も少なからずある。中でもいま最も大きな課題となっているのは、ネットワークを構築するための通信機器設備が非常に高額だということだ。
企業が構築するローカル5Gのネットワークは、携帯電話会社が構築するパブリックの5Gネットワークと比べはるかに小規模になるだろう。しかし、5Gのネットワーク構築に必要な機器は現在のところ携帯電話会社を対象としたものがほとんど。ローカル5G向けとしてはオーバースペックで高額な機器が多く、ニーズにマッチ合った機器が少ないのが実情なのだ。
そうしたことからローカル5Gの利用を拡大する上では、ローカル5Gの規模に適した、より小規模で低価格な機器の開発・提供が求められている。そうした声に応えるべく、ローカル5Gに合った機器やソリューションの開発や調達に力を入れる企業は増えつつあるようで、無線通信を担う基地局などは仮想化技術により汎用のサーバを活用する、コアネットワークはクラウドで提供するなどして低コスト化を推し進めているようだ。
ネットワーク側だけでなく、端末側もまだ対応する機器が少ないことから、国内メーカーを中心に各社が対応を急いでいる。既に京セラやシャープがルーター型、FCNTがスマートフォン型のローカル5G端末を投入しているが、まだパブリック5G向けの製品をローカル5Gに対応して投入しているケースが多いというのが正直なところ。ローカル5Gのニーズにマッチした、より特定産業の用途に特化した形で、なおかつ低廉な端末が増えることが期待されている。
また先にも触れた通り、現在ローカル5Gを活用した取り組みのほとんどは実証実験レベルにとどまっており、具体的なユースケースの開拓がまだ進んでおらず実際のビジネスにどこまで生かせるのか見通せない状況にあるというのも、導入する企業の側からしてみれば大きな課題の1つといえるだろう。
そうした現状を考慮すると、ローカル5Gが企業に本格活用されるようになるにはまだしばらく時間がかかることは覚えておく必要があるだろう。
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