プレイリストも、両者では質がまったく異なる。正直いって、一部のアーティスト系プレイリストは除いて、Apple Musicのプレイリストの多くは、熱心なクラシックファンの要求に応えられるシロモノではない。
特に目に付くのは「朝のクラシック」「モチベーションが上がるクラシック」「癒やしの合唱音楽」といったくくりの、いわゆる企画モノの感覚で作成したプレイリストだ。入門者にはいいのかもしれないが、聴き込んだ人にとっては、ほぼ100%興味の外である。
筆者は、80年代後半から90年代にかけて、メジャーレーベルの下請けでクラシック音楽の企画モノアルバム(学芸系とも言っていた)をたくさん原盤提供してきた経験があるだけに、さもありなんといった感じがして、ほほえましくもあるのだが……。
その一方で、Primephonicのプレイリストは、ちゃんとキュレーターの顔写真とコメント入りで作成されており、ホンモノ感が漂う。名前が出るだけに、選ぶ方も気合いが入るだろう。
例えば、「Head of Curation」の肩書を持つガイ・ジョーンズ氏のプレイリスト「Ravel Essentials」のコメントには、「『ボレロ』のような繰り返しの多い作品からは、事故に至るまでの彼の精神的な衰えを感じることができるともいわれている」といった、Apple Musicのコメントとはひと味もふた味も上をいく文章が挿入されており、より信頼感を醸し出している。
Primephonicはポッドキャストも充実している。英語なので、聞いていてもよく分からないのは残念だ。
Apple Musicにもキュレーターの枠はあるが、なぜか、「Gramophone」「Decca Classics」いったレーベルがキュレーションしたプレイリストが並んでいる。
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