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「全てをユーザー自身に組み合わせてもらう形に」──KDDIがオンライン専用ブランド「povo」を基本料0円にしたワケ

» 2021年09月14日 08時00分 公開
[松浦立樹ITmedia]

 KDDIが9月13日に発表したオンライン契約専用プラン「povo2.0」。従来のpovoは20GBで月額2728円の1プランをベースにしたシステムだったが、月額基本料金を0円に変更。通話料金やデータ容量を自由に組み合わせるプランに刷新した。料金体系を大きく変えた背景について、povoを手掛けるKDDI Digital Lifeの秋山敏郎社長は「全てをトッピングにしてユーザー自身に組み合わせてもらう形にした」と狙いを話した。

KDDI Digital Lifeの秋山敏郎社長

 もともとのpovoは廉価ながらも大容量通信が可能という、総務省主導の携帯料金値下げの方針にも一致するプランだった。他のキャリアも同様の廉価プランを提供する中、povoが少し異なっていたのは、通話し放題などのオプションを、ベースプランに対する「トッピング」として打ち出していたことだった。

 しかし秋山社長は「(ユーザー自らが選び取る)トッピングというコンセプトを、どのようにして次の段階へ進めるか」に課題を感じていたという。

 「ワンプランを辞めて複数のプランをつくると、ユーザーがどのプランを選ぶべきか悩むかもしれない。ベースプランを従量課金制にすることも考えたが、ユーザーの知らないところで値上げが発生し、コントロールできなくなるリスクもある。そもそも、月額プランだけでいいのか。ユーザーのライフスタイルは月ではなく、週や日によって違う場合もある」(秋山社長)

 そこで、利用期間と通信容量の異なるデータ料金のトッピングを6つ用意。柔軟に通信容量を変えたい需要を汲み取り、月額制も廃止した。通話し放題については月額制ながら2種類のトッピングを用意。動画配信サービスの「DAZN」や「smash.」のデータ通信容量が短期間使い放題になるプランも用意する。

povo2.0のデータ容量プラン

 povo2.0の想定顧客は従来通りデジタルネイティブ世代。「ギガ活」という、au PAYの特定店舗での利用やシェアバイクの利用など、街中でギガがもらえるキャンペーンも実施し、通信容量の残りなどに敏感なユーザーにリーチしたい考えだ。KDDIの中馬和彦部長(ビジネスインキュベーション推進部)は「コンビニや飲食店で買い物をするだけでギガをもらえる生活を多くの人に楽しんでほしい」とした。

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