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スマートスピーカーの成功を見ずに終わった「Chumby」が見せた可能性デジタル・イエスタデイワンスモア計画(1/3 ページ)

» 2021年09月30日 10時40分 公開
[甲斐祐樹ITmedia]

 過去の魅力あるサービスやガジェットを温故知新的に改めて見直す本連載、第5回は小型のデスクトップデバイス「Chumby」(チャンビー)を取り上げる。

スマートフォン普及前に現れた「スマートデバイス」

 Chumbyは、3インチクラスのタッチ操作可能なディスプレイと無線LAN経由でのインターネット接続機能を備えた小型の端末。時計や写真表示、音楽再生といった機能に加えて、インターネットに接続することで、天気やニュースなどさまざまな情報を入手できる。

photo Chumby

 米Chumby Industriesが開発、2008年に米国で発売されたのち、同年に日本でも発売。筐体は皮に覆われたぬいぐるみのような作りになっており、ガジェットらしからぬ見栄えや存在感も特徴の1つだった。

 2008年といえば、日本初のiPhoneとなる「iPhone 3G」が登場した年、つまりスマートフォンの本格普及より前という段階だ。インターネットに接続してカスタマイズできるChumbyは、いまでいう「スマートデバイス」的な存在だったが、スマートフォン自体がまだ普及していない当時では、Chumbyをどう呼称して扱うべきかメディア内でも揺れていた記憶がある。

 その機能はまさにスマートデバイスと呼ぶべきもので、「ウィジェット」と呼ばれるアプリケーションを自由に追加でき、ニュースや天気予報といった情報だけでなくTwitterやYouTubeの動画といったSNS的なサービスにも対応していた。なお、2008年はTwitterの日本語版がようやく登場、SNSといえば勢いを落としつつもまだmixiが隆盛、という時期だ。

 仕様面でもUSBによる拡張機能や、オーディオ端子を使ったスピーカーへの音声出力に加えて、本体を握ると反応するスクイーズセンサー、本体の傾きを検知する3軸センサーといった入力インタフェースも備えるなど、今から振り返っても充実したスペックだった。

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