この頃、ビジネス誌などで「データ活用」や「デジタルトランスフォーメーション」(DX)という言葉をよく耳にするけれど、結局何を意味しているのか、何をすればよいのかピンとこない、あるいは何となく自分の業務を便利にしてくれそうなイメージがあるけれども、具体的にどのように役立つのか分からない──そんな人もまだまだ多いだろう。
この記事ではそういった読者に向けて、データ活用とは何か、データ活用によってもたらされるものは何か、データ活用をどのように進めるべきか、といった基礎知識を付けていただけるよう、関連する用語や考え方について解説する。
コロナ禍を経て、企業の間では再び攻めのIT活用に対する機運が高まりつつある。本特集ではITmedia NEWSのAI専門コーナー「AI+」と連動し、最先端のデータ活用ソリューションや事例、取り組む際のポイントを、企業のリーダー層やデータ活用担当者に詳説する。
データ活用とは文字通りデータを活用することであるが、具体的にはどういうことか。データ活用のためにはどのような構成要素が必要なのかを考えてみよう。
そもそもデータとは何だろうか。データとは、観察によって収集された個々の事実や統計のことであり、多くの場合は数値で表現される。情報を数値や文字列といった形式で表現することで、人は情報を伝達、解釈、処理できるようになる。つまり、データとは情報を扱いやすくしたものであると考えることができる。
データそのものは単なる事実にすぎないが、加工や処理を行うと知見を得られるようになる。例えば、コンビニで商品を買うと「いつ、どの店舗で、どのような顧客が、何を、いくら購入した」というデータが蓄積される。そのデータを分析すれば「どの商品が売れ筋か」「特定の地域にどのような顧客が来訪するか」といった意味のある情報を作り出せる。
データは、単体で意味を成すものというより、データを使って何を知りたいかという目的と併せて取り扱いを考える必要がある。
データはあくまで情報を符号化したものであり“デジタル”の要素は含まれない。手書きの統計表や印刷物もデータであるが、現代のIT社会ではデジタル化されたデータを扱うことが主流だ。
デジタル社会においてデータを活用するには、当然ITをはじめとしたデジタル技術が重要な役割を果たす。アナログなデータをデジタル技術で活用しやすい状態にする、つまりデジタル化することで、コンピュータを利用した高速処理が可能になり、業務プロセスや企業戦略の改善を迅速に行うことができる。
このようなデジタル技術による変革が継続的に行われている状態を「デジタルトランスフォーメーション」(DX)と呼ぶ。
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