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はじめよう、データ活用 ビジネスを成長させるために、初心者が着目すべきポイントは?(2/3 ページ)

» 2021年10月06日 08時00分 公開
[安部晃生ITmedia]

米Netflixの例

 動画ストリーミングを手掛ける米Netflixは、積極的にデータ活用をしていることでも有名だ。動画コンテンツをデジタルプラットフォームで配信することで、ユーザーがどの作品をよく観ているのか、その作品にたどり着くまでにどのような操作を行ったのかといったデータを取得できる。そのデータを基に、ユーザーに対して「どのような動画を推薦すべきか」「どのようなサムネイルにすれば動画視聴を促せるか」といった顧客体験に直結する機能を実現している。

 さらにNetflixは現在、コンテンツ提供にとどまらず、コンテンツ制作やEC展開も行っている。顧客と企業がデジタル技術でつながることでビジネス変革が実現できる。これこそまさにDXの体現といえる。

データ活用を構成する要素

 データ活用ではデータのデジタル化が重要な役割を果たすが、単にデジタル化するだけでは企業の適応能力は改善されない。データを収集、蓄積、分析して意味のある情報を得ることで、意義のある戦略が実現するという一連の流れを作って初めてデータ活用が行われているといえる。

データ基盤

 大きなデータ量、種類、更新頻度を兼ね備えたデータをビッグデータという。現代はIoT端末なども含めたさまざまな機器からデータが大量かつ高頻度に送信される“ビッグデータ時代”だ。

 企業を運営する中で大量のデータを収集することは難しく、ときには政府や他の企業が持つ外部データを取得することもデータ活用においては重要だ。DXにおいては企業内だけでなく、顧客を含むエコシステム全体を捉えることが重要だが、企業運営によって得られるデータその一部にしかすぎないからだ。

 収集、蓄積したデータは、次のデータ分析に適した状態に加工する必要がある。デジタル化しただけのデータは、分析の役に立たないストレージの肥やしでしかない。「データ基盤」は、データの品質を維持したまま保管し、分析に適した状態のデータを供するシステムだ。

 大企業の場合は「データレイク」「データウェアハウス」といったデータを集めて一元管理するシステムが重要になる。中小企業においてもデータ分析を行いやすいようデータの整理さえできればデータ基盤の目的を果たすことはできる。

ビジネスインテリジェンス

 収集・蓄積したデータを、統計学、機械学習、数理最適化などの手法でデータ分析にかければ、意思決定に役立つ情報を導き出せる。このようにデータ分析技術を活用して企業におけるデータ分析活動を支援するシステムをビジネスインテリジェンス(BI)という。

 BIというと固く難しい言葉のように聞こえるが、今まで社内の暗黙知として知られていた情報を、データから導き出してグラフとして可視化するようなことも含まれる。

 収集、蓄積したデータを分析して得られた結論を基に意思決定を行うことを、知識や経験に頼った意思決定に対して「データ駆動型の意思決定」という。データが適切に収集、蓄積されていれば、BIは意思決定に必要な分析結果を十分なスピードで示せる。

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