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相次ぐ車両内刺傷・放火 テロや犯罪に巻き込まれないためにできること、やってはいけないことデジタル防災を始めよう(1/2 ページ)

» 2021年11月09日 07時00分 公開
[戸津弘貴ITmedia]

 2021年10月31日、京王線の車内において刃物と可燃物を用いた傷害事件が発生し、複数人がケガを負った。犯人は逮捕されたが、車両では火災が発生し、乗客が逃げ惑う様子がSNSに投稿されるなど、日本中が騒然となった。京王線の事件は8月6日に小田急線の車内で起きた傷害事件を模倣したものだった。さらに11月8日には九州新幹線の車内で放火未遂事件が起きるなど、車両内での事件が頻発している。

 日本国内では映画のようなテロはほぼ起こり得ないと思われていたが、1995年3月20日に発生した「地下鉄サリン事件」は戦後最悪の無差別テロ事件として、また世界で類を見ない化学兵器を使用したテロ事件として、日本だけでなく世界中に認識されている。

海外で奨励されている対策は?

 日本をはじめ世界で奨励される対テロ行動に「Lie(伏せる)、Run(逃げる)、Hide(隠れる)」というのがあり、こちらは外務省などの「襲撃、テロに遭遇した場合の行動原則」にも記載されている。また、米国の対テロスローガンの中に「Run. Hide. Fight. 逃げろ、隠れろ、(他に方法がないなら)戦え」というのもある。日本国内において「戦う」選択肢はほぼないが、可燃性の液体をまいて火をつけようとした際などは(放置していたら最終的に自分も巻き込まれてる可能性が高いので)周囲の人と一緒に取り押さえる選択があり得るかもしれない。

photo 外務省のWebページにある「ゴルゴ13の中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル(エピソード12)」にもテロリストに襲撃された際の対処の記載があるのでチェックしてみよう
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 英国では「Run(逃げろ)、Hide(隠れろ)、Tel(通報しろ)」という行動が奨励されている。銃などで武装したテトリストや犯罪者に遭遇したら、まずは何をおいても逃げる(犯行現場、襲撃者から遠ざかる)ということだ。離れた場所で何かが起こったとしても近づかないということでもある。襲撃者が複数人で、取り囲まれているなど逃げられない状況ならば物陰に隠れて見つからない(相手から認識されない)ようにして、襲撃を回避し、身の安全を確保する。最後に、安全を確保したら速やかに通報するということ。重複を気にせず通報してかまわない。

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 まず、初撃を回避し、脅威から遠ざかり安全を確保し、通報するというのは、テロに限らず事故や犯罪、災害に共通する基本的な対策といっていいだろう。逃げるは恥でも何でもないし、役に立つのだ。

行動原則は「自分の安全を確保すること」が第一

 上記で紹介した行動指針の基本は、「自分の安全(生命)を確保すること」が最重要となっている。「Fight(他に方法がないなら)戦え」であっても、蛮勇を奮って安易に襲撃者を取り押さえるというのではなく、そうしなければ自分の安全が確保できない状況で生き延びるための最大限の行動をするという延長線にあるものだ。

 先の京王線の事件において、SNSの動画を見る限りではヘッドフォンをして状況に気付いてない乗客に声をかけて避難を促すシーンなどもあり、比較的適切な避難が行われた印象だ。

 一方で、SNS時代、デジタル時代における懸念も見受けられた。

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