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月面基地で活躍する測位システム、JAXAとカシオが球場で実験

» 2021年11月29日 12時34分 公開
[ITmedia]

 カシオ計算機は11月29日、JAXA(宇宙航空研究開発機構)と共同で月面基地での活用を想定した測位システムの実験を始めると発表した。カシオの位置測位システム「picalico」(ピカリコ)を使った実験を神奈川県相模原市内の野球場で12月3日まで実施する。

月面基地のイメージ図(出典はJAXA)

 野球場を月のクレーター、フィールド上を移動するトラクターを月面探査車に見立て、観客席に設置した複数のLED灯から可視光通信の信号を送信する。これをトラクターのカメラで捉え、算出したトラクターの現在位置の精度を検証する。

 JAXAは継続的な月面探査のため2030年以降に月面基地を設ける構想を持っているが、月には探査車などの移動に必要なGNSS(衛星測位システム)がない。このため2020年6月の「第6回研究提案募集」で位置計測・推定技術を募集し、カシオの提案を採用していた。

 JAXAでプロジェクトを担当している牧謙一郎さんは「広大かつ特徴が少ない月面上で、無人/有人の移動車が自己の位置を把握しながら移動することは、資源探査や基地建設などのあらゆる活動において有効となる」と話している。

 ピカリコはカシオが工場の自動搬送機などに利用している位置測位システムで、独自の「カメラ可視光通信技術」を採用している。LED灯から3色(赤、緑、青)のLED光を24回もしくは12回変化させるパターンで1つのID情報を作り、受信機(カメラ)を搭載した車両はIDとひも付けられた座標から現在位置を割り出せる。

月面探査車は複数のLED灯の信号を捉え、今いる場所を自己測位する
工場での活用イメージ

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