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ある朝起きたら「変身」していた! メタバースとアバターの関係から見る「これは自分じゃない」問題【新連載】メタバースはじめました(1/3 ページ)

» 2021年12月23日 16時07分 公開
[堀正岳ITmedia]

 仮想空間が生み出すインターネットの新しいかたち「メタバース」。そこではどんな未来が生まれつつあるのでしょうか。本連載では最新のメタバース関連のニュースを、「VRChat」や「cluster」といったホットなソーシャルVRサービスの現場の空気とともにご紹介します。メタバース、あなたもはじめませんか。

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 ある朝、胸騒ぎのする夢から目を覚ますと、自分の姿形が昨日とはまったく変わっていることを発見した……。

 そんな、フランツ・カフカの「変身」のような話が先日Facebookユーザーの間で話題になっていました。任天堂のMiiやAppleのメッセージアプリの「ミー文字」と同じように、自分の個性に合わせたアバターを設定して投稿する機能がFacebookにはありますが、そのアバターの姿が予告なく大きく変化したのです。

ある朝、グレゴール・ザムザが気がかりな夢から目ざめたとき、自分がベッドの上で一匹の巨大な毒虫に変ってしまっているのに気づいた。(青空文庫「変身」

 「急に太ってしまった」「妙にマッチョになった」「髪型が長髪から短髪になった」といったように戸惑いの声はさまざまです。顔の形や体型だけでなく、髪型や肌の質感など、変化したポイントは人によって異なりましたが、多くの人が感じたのは「これは自分ではない」という違和感でした。

 私も自分の実際の顔に合わせて額が広めの髪型を選んでいたものの、「ここまで広くはないだろう」と文句を言いたくなる形状に変わっていました。

photo 筆者の新バージョンアバター、こんなはずでは……

 このアバターの変化は4月からゆっくりとロールアウトされていたOculus Avatars 2.0(現 Meta Avatars 2.0) の仕様に基づいたものとみられます。タイミングとしてはMetaが本格的なメタバースサービスと位置付けている「Horizon Worlds」をローンチした12月10日に一致していました。

 Avatars 2.0はHorizonと、メッセンジャーやFacebookといったMetaの他のサービス間でアバターの見た目を共通化する技術でもあるので、おそらくはサービス上の都合もあってこのタイミングでアバターが刷新されたのでしょう。

 しかし一企業の都合で自分の見た目が予告なく変わってしまうのは居心地の悪いものです。しかしその違和感はどこから来ているのでしょうか?

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