米ラスベガスで2022年1月開催のテクノロジーイベント「CES 2022」は、12月27日現在、リアルとオンラインのハイブリッドで実施される予定だ。
筆者はCESをもう15年近く取材し続けている。2021年はコロナ禍で完全オンラインとなったので渡米しなかったが、2022年こそ……とホテルやフライトチケットも手配し、渡航の準備を進めて「いた」。
過去形であることでお分かりのように、結局筆者は渡航を取りやめている。理由は、オミクロン株のまん延だ。
渡航と会場取材の中止を決めたところ、ITmedia NEWS編集部から「その背景を記事にしてもらえませんか?」という依頼をいただいた。
多少個人的な事情も混じるが、「大型イベントの持つ意味」と「コロナ禍での海外取材の難しさ」について、改めてまとめてみたい。
前述のように、今回CES取材を断念したのはオミクロン株まん延が理由だ。
12月20日、米疾病対策センター(CDC)は、12月18日までにオミクロン株がデルタ株を逆転、1週間の新規感染者のうち73%がオミクロン株になった、と公表した。人口が密集している都市部などでは9割を超えるという値もあった。
感染者の大半がワクチン未接種とはいえ、他国で感染者が拡大している中に飛び込んでいくのはリスクが高すぎる。
米国への入国に際しては「ワクチンの2回接種」「渡航24時間以内(フライト日を除く)でのPCR検査陰性証明」が必要ではあるが、それはオミクロン株まん延以前からの話なので、そこまで問題ではなかった。PCR検査までの期間が「3日」から「1日」になったくらいだろうか。12月末現在、入国後も特に強い隔離や移動制限はない。
米国入国時と、日本への帰国時に必要になる「自費でのPCR検査」の費用は確かに痛い。それぞれ3万円程度はかかるので、普段の出張よりも6万円くらい高くつくことになる。とはいえそれは、この時期に海外に出る上での必要経費のような部分がある。
問題は日本に帰ってくるときだ。
いわゆる「水際対策」の一環で、日本に入国したあとは一定期間の強制隔離に加え、合計で14日間の自主隔離(自宅などでの隔離生活)が必須となる。筆者が予定していたラスベガス取材の場合、フライトはカリフォルニア州サンフランシスコ経由だったので、宿泊所での隔離は「3日間」とされている。だが、同じ飛行機の中に感染者が発見された場合には隔離期間が延びる。前述のような感染拡大状況では、仮に自分が感染しなくても、自分が濃厚接触者になる可能性はかなり高くなっている。
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