当初は1年もネタが持つのか不安な面もあったこの連載「デジタル防災を始めよう」だが、コロナ禍で始まり、気を抜く間もないほど災害などもあり、残念ながらネタは尽きなかった。
年の瀬には東京23区を震源とする地震があり、年明け早々には小笠原諸島で震度5の地震もあった。年末年始にかけて日本海側を中心に大雪に見舞われ、滋賀県では除雪が追い付かないなど積雪や寒波によるトラブルも見受けられた。コロナウイルス変異株の感染拡大など、感染症対策もまだ気を許せない状況にある。
首都圏を中心に、普段積雪の少ない地域で大雪が降ると交通機関は途端にマヒする。
毎年雪が降る地域でも、例年以上の積雪だったり、予算削減で除雪対策が縮小されていたりすると、問題が生じることがある。想定を超えるレベルになると対応は難しく、機材やスタッフなども含めた備えがなければ対処もできない。
積雪が多い地域ならば、冬季に差し掛かったら冬用タイヤに履き替える、除雪道具を準備する、服装を整える、などの準備は怠りないと思うが、ほとんど積もらない地域であれば全く準備していない場合が多い。
たまにしか発生しない事態のために備えるのは非効率的だ。ならば、そんな時は速やかにリモートワークの判断をするなど、「ごく希に生じる積雪のための交通機関の乱れ」に対して「無理な出勤」をしなくて済む選択肢を用意しておくのも「防災」だ。
コロナ禍によってリモートワーク環境が整備されているので「外出(通勤)が難しい」状況下での対応は整っている「はず」だ。
ただし、それも準備があってこそ。「防災」は、事態の想定や予測を行うだけでなく、それに対する準備を完了してこそ成立する。
この原稿を送った直後に、東京は大雪に見舞われた。最大積雪量は10cmを記録し、横浜でも5cmと、首都圏の広範囲で積雪となり、交通機関も遅延や高速道路の封鎖などが相次いだ。
東京電力では、この冬初の電力融通を要請した。省エネをしつつ、寒さを乗り切る必要にも迫られている。多くの人が「ほとんど発生しないケース(大雪)」に遭遇してしまったわけで、おそらく準備が整わない中での大雪、寒波到来となった。
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