2015年3月14日〜18日、仙台で開催された第3回国連防災世界会議では、「仙台宣言」および「仙台防災枠組2015-2030」が採択された。
山谷えり子防災担当大臣(当時)が、「防災への取り組みはコストではなく投資でありバリュー」と、事前の防災投資は災害発生後の対応、復旧よりも費用対効果が高いと採択文書についてコメントした。
防災対策されていたことで被害が軽減されたり、BCPが奏功して業務が継続できた例もある。3.11でもこうした対策されていなければもっと被害が大きかっただろうとする検証もある。
防災面を意識しつつキャンプの道具を揃えて楽しんでいるなら、いざというときにも当座の食事や寝床に困らない備えが自然にできていることになる。まさに防災への取り組みがバリューとなった一例といえる。
「マイタイムライン」や「防災スタイル」を定めても、状況は常に変化していく。状況や環境の変化に応じて準備するものや対策も変えていかなければならない。
災害などの課題を乗り越えた後は、かつての日常に戻るのではなく、新たな日常が始まる。
例えば、3月に行われるダイヤ改正において、通勤時間帯での減便や始発や終電の繰り上げなど、運転本数の削減の動きが見られる。これは、もともと運転間隔や本数の「ピーク」に合わせて備えていた設備やスタッフを減らして経営効率の改善を図る目的があるが、コロナの状況前ならば通勤ラッシュに対応するために「減便などはあり得ない」ことだったのが、リモートワークなどの普及によって行える(行う必要がある)ように変化したのだ。
阪神淡路大震災後と東日本大震災後、新しい日常となったことも多い。災害時の警報や注意報は、住民の自主性にゆだねた緩いものから「今すぐ逃げて!」など強く行動を促すものに切り替わるなどアップデートされている。
大きな被害があれば、それを教訓として日常の備えや行動がアップデートされるのは当然のことだが、目に見えるような被害や損害がなければ、今の日常を変えようというモチベーションにつながらないことも多い。しかし、防災のアップデートを新たなバリューとして行うならば、本来の防災対策以上の効果が得られる可能性がある。
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