マツ はい。JASRACなどの著作権団体とは揉めたりしながらも、著作権をクリアした発表の場として、ニコニコ動画が一気に花開いた。
マツ 2007年前後は、初音ミク、YouTube、ニコニコ動画、iPhoneといった、SNSを加速させるメディア、技術が一気に出てきた時期だというのも大きかった。
ヤマー ほんとに、めちゃくちゃ面白い年でしたよね。当時浪人生だったんですが、ネットが面白すぎて本当に辛くて……w 勉強そっちのけでずっとニコニコにいました。ボカロを聴いていたのは、2007〜2009年あたりでしたけど。
ちなみに実家は当時ADSLなんて高速回線は引いてなかったので、PHSのパケット定額プランでPCとつないでみてました。64kbpsだから動画読み込むのにえらい時間かかる。
マツ うわーw 今、ITmedia NEWSの記事ランキング見てたら、この記事が浮上している。
ヤマー そうそう、昨日の番組内でも触れてたんですよ。この一件で逆に結束が強まったという文脈でしたが。
マツ 後で聞いた話だと、テレビ、代理店などの中央メディアから、初音ミクを商業化し、取り込もうという動きがけっこう強力だったそうです。それをやってしまうと一気に消費されてしまうから、慎重だった。跳ねのけられたのは、北海道・札幌という地の利があったおかげだとも。
ヤマー なるほど。ユーザーが育てている文化にいきなりお金の匂いが漂ってくると嫌悪感持つ人は多いですしね。
そもそも番組では、当時は初音ミクというキャラクターを付けたことで、音楽業界からはちょっと冷ややかな目で見られていて、コミュ障のオタクが人に歌わせられないから初音ミクを使うというだいぶ偏見のある目で見られていたと語ってましたね。
マツ 歌える人を使える、というのは当時は特権だったわけです。それを、一般の人たちに開放したという意味で、初音ミクは「歌声の民主化」と言ってもいいと思います。
ヤマー 初音ミクのおかげで歌い手文化が生まれて、歌える人とコラボするって一般化しましたけど。それより昔ってその手の事務所に相談するしか方法がなかったんでしょうね。
あと、アッコにおまかせの炎上、実はリアルタイムで経験していて、本当に扱いが酷くてだいぶ憤慨してニコニコのコメントで怒り狂った記憶があります。可能性に満ちた、新しい文化が生まれようとしてるのにそこに冷水をぶっかけるような真似しやがってと。
マツ コメントで怒り狂ったヤマー(浪人生)w
ヤマー でも、みんな怒ってたんですよ。
マツ ですねー。でも、既存の芸能界、マスメディアにとっては、邪魔な存在か、消費してうまいこと儲けるためのネタだったわけですから。
ヤマー うーん、おそらくそこまでも行ってなかった気がしますね。「オタクが変なソフトで遊んでるw」みたいな、マジでイロモノを見てくるような感覚でした。 邪魔とすら思ってなかったかも。
マツ 初音ミクって、変なソフトだけど、実用レベルに当時としては一番近づいたんですよね。ほぼ人間のレベルに。不気味の谷を越えられた最初の歌唱合成。
ヤマー マツさんみたいに歌声合成やDTMに詳しい方だとその可能性に一番気付けたんでしょうが、マス層はやはりキャラクターがついたもの、しかもいうて人間とは違う声色の曲を聞いて何が良いの? という感覚はありましたよ。
ただ、ニコニコ層を中心にボカロ曲を聞いている人は増えていたので、オタクと会話するときの話の種にはなってましたね。ボカロで何が好き? みたいな。
風向きが変わったなぁと思ったのは2010年代半ばぐらいからですかね。歳の離れた姪がいるんですが、当時中学生で「みんなボカロを聴いている」と言っててマジでビックリしたんです。 といっても姪は立派なオタクなんですが、若い世代に普通に浸透し始めているのでは……? と感じるようになったんですよね。
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