経歴だけは長いベテラン記者・編集者の松尾(マツ)と、幾つものテック系編集部を渡り歩いてきた山川(ヤマー)が、ネット用語、テクノロジー用語で知らないことをお互い聞きあったり調べたりしながら成長していくコーナー。交代で執筆します。
ヤマー ウクライナ・ゼレンスキー大統領が23日にオンライン演説をされてましたが、マツさんご覧になられましたか?
マツ はい。YouTubeで、いろいろなところでやってましたけど、TBSかな。
ヤマー 私はニコニコでみてました。演説も配信もオンラインで見れるようになったって、今の時代ならではですよね。
マツ 先例がないからと実施が危ぶまれていましたけど、同時通訳設備も用意されていたみたいでしたね。
ヤマー ですね。そのYouTubeとかニコニコだと配信時のコメントが見れると思うんですが、なんというか……治安が悪くて。
マツ まあひどかったですね。僕らがYouTube Liveやってる時ですらスパム来ますからね。
ヤマー えぇ……。今回、特に気になったのが同時通訳へのコメントなんです。音声機材の調整不足もあったんでしょうが、「聞き取りづらい」とか「通訳変えてくれ」といったコメントがあちこちに。
マツ 分かってないなあ、と。同時通訳の大変さを知ってる人はみな思うはず。
ヤマー 同時通訳ってすごく高いスキルが必要ですよね。思わずTwitterでつぶやいたら拡散されてしまって。
マツ あはは。でも、一度でも通訳をやったことがある人はそんなこと言えないよね。
ヤマー 仕事柄、海外企業への取材や会見などで、同時通訳の方にお世話になることがありますが、日本語と文法が異なる言語を理解して、ニュアンスや使っている単語を、齟齬が無いよう適切な日本語に並び替えながら、リアルタイムに日本語として話すんですよね。しかも、この間にも相手は話を続けるわけです。ヤバいですよ。
英語話者なら母数も多いので同時通訳できる方も一定数いるんでしょうけど、そうじゃないですしね。
マツ もちろん、同時通訳の人にも極端に優れた人、そうでもない人はいるけど、今回は日本ではほとんど学べる学校すらないウクライナ語。同時通訳できただけでもすごいところ。
今回は、在日ウクライナ大使館の方ということで、それならば可能かなと思いましたが。
ヤマー あ、大使館の方だったんですね。さすがです。
マツ 僕の出身大学は東京外国語大学なので、ロシア科はありましたけど、ウクライナ語は専攻すらないです。まあ、僕がいた頃はソ連でしたけどね。
ヤマー あれ、マツさん外大出身なんですか。
マツ 専攻は英語ですけど(英米科)、ロシア科の友人も多くて、今回の件では心を痛めてます。
ヤマー どうりで翻訳の仕事もされていたわけですね。
マツ 先日も、自分らでやっているポッドキャストで、英語話者の人がゲストできて、通訳的なことをやったんですけど、むちゃくちゃ大変でしたw
ヤマー 想像しかできないんですけど、大変さはよく分かります。
マツ もちろん同時通訳じゃなくて、逐次通訳です。メモしながらやってましたけど、半分も伝え切れた気がしない。一方で、英語での取材、インタビューはこれまでけっこうやってるんですが、それはこっちが質問して、答えが帰ってくるまでタイムラグがあるから、その間に少し休めるw
ただ、今回は通訳が大使館の方ということで、事前にスクリプトがあったと思うので、少しは楽できたのかなとは思います。
ヤマー 通訳と同時通訳もまた違いますよね。同時通訳は休むタイミングがまったくないと言うか、「ごめんちょっとしゃべるの早いよ」って、相手の話を遮るわけにも行かず、瞬間的によどみなく相手の言語に合わせないといけませんからね。
同時通訳だと長丁場の会見などは複数人体制が基本ですね。頭を酷使するので短時間が限度と聞きます。
マツ 日本語は語順が欧米語とは違うことが多いので、順番が変わっちゃいますしね。
ヤマー そこですよね。最後まで聞かないと日本語として出力できない会話とかありますし、その間、会話のワードをためておくバッファーが頭の中にないといけませんしね。
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