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日産が取り組んだメタバース新車発表会の舞台裏 「アバターワーク」が重要(3/4 ページ)

» 2022年05月31日 09時50分 公開
[武者良太ITmedia]

Quest 2で体感できることにフォーカス

 サクラのメタバース発表会・試乗会の取り組みについて、日産自動車日本事業広報渉外部 鵜飼春菜さんにお話を伺いました。

 「今回のポイントは、コンテンツの方向性と技術面の2点があったと思っています。コンテンツの方向性については単なるアンベールではなく、誰も体験したことのない新車発表会をVRで実現しようという事で構想が始まりました。以前よりメタバースコンテンツ製作をお願いしていたプロダクションにも相談し、パーティクルライブの開催を決定。さらにメディアの方だけが体験できるものではなく、より多くの方にサクラという車を身近に感じてもらうことができれば考えて、試乗ワールドを作りました。ここでの重視点は、楽しんでもらえることと、クルマのコンセプトやメッセージが伝わるような世界観作りでした」(鵜飼さん)

photo 運転できるサクラとは別に、車内の雰囲気を確かめられるサクラも置かれていた

 技術面に関しては、MetaのVRヘッドセット「Quest 2」のみで参加できることを念頭においたそうです。よりリアルさを感じられる試乗体験や、サクラに搭載される機能や技術の再現性も取り入れたいという声もあったものの、現在のQuest 2向けメタバースプラットフォームの技術面で難しい部分も多かったと鵜飼さん。

 「ゲーミングPCなどを必要とする環境であれば、よりリッチな表現が可能ですが、多くの人に体験してもらいたくて、販売台数が増えている=ユーザー数が増えているQuest 2の環境に合わせてワールドやイベント内容を設計しました。今までPC VRでは表現や製作できたことを、どこまでQuest2の環境下で再現するか、多くの課題にぶつかりながらもクリエイターの皆さんの知見を総動員で作り上げたのが今回のコンテンツです」(鵜飼さん)

photo ベンチシートのように見えて、実は身体を支えるへりがついていることが分かる

 クリエイターやパフォーマー、アーティスト、そしてメタバース上からYouTubeに発表会・試乗体験会の様子を配信するスタッフや、VRChat内での写真・動画撮影スタッフ、現場アテンドスタッフなど、数十人のチームで作り上げた今回のイベント。製作や当日のスタッフとして活躍してくれた方のほとんどは、普段からVRChatというメタバースで活動している人々です。もともと一緒に仕事をしてきたプロダクションが彼らとの広いコネクションを持っていたことから、実現できたのでしょう。

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