ふるさと納税で、返礼品の代わりに現金が受け取れるというサービス「キャシュふる」が波紋を呼んでいる。スタートアップのDEPARTURE(東京都新宿区)が提供を始めたサービスで、寄付金額の20%を現金で受け取れるとうたう。
同社の説明によれば、キャシュふるは「返礼品がいらない人と返礼品が欲しい人をマッチングするプラットフォーム」だという。ふるさと納税に関する業務をユーザーから受任。ユーザーから寄付金額分を集金し、同社から自治体に寄付を申し込む。得られた返礼品を“欲しい人”に販売し、その売上から手数料を引いた金額をユーザーに渡すとしている。
ふるさと納税には、一般的に各種ポータルサイトを経由で寄付を申し込むケースが多いが、キャシュふるは、ポータルサイトを経由せず自治体に直接寄付を申し込むため、ポータルサイト利用で発生する手数料が自治体側にかからないという。
同社は「ふるさと納税の利用者の実情に合わせる形で、利用者の裾野が広がることでの税収増加と、販促費の削減によって使える予算を増やすことで、より効率的に地方創生を目指す」と主張している。
しかし、一般的に返礼品は、寄付のお礼として自治体から受け取るものとされている。DEPARTUREは、マッチング対象を「返礼品がいらない人」と定義しているが、返礼品の代わりに現金を受け取ることに変わりはない。実質的には、返礼品の代わりに現金が欲しい人といえる。
同社の発表に対し、Twitterでは「黒に近いグレーなサービスが出た」「3店方式じゃないか」「クレジットカードのショッピング枠の現金化みたいな仕組みだ」「返礼の現金が雑所得として所得税を取られそう」など、疑問の声が出ている。
ふるさと納税を管轄する、総務省の自治税務局市町村税課に確認したところ「今サービスを調査中だが、Webサイトを見る限りはふるさと納税の趣旨に合っていない。(ふるさと納税の)大前提は寄付した人に自治体がお礼として物を送ること」と回答。「業者と接触できていないため、サービス内容などの細かいところはこれから聴き取りをする」としている。
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