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半年で収益計画が破綻したスマホゲーは、なぜ4年以上続けられた? プロデューサーが作り続けた「期待感」CEDEC 2022(1/2 ページ)

» 2022年08月24日 12時30分 公開
[谷井将人ITmedia]

 かつて「天華百剣 -斬-」というスマートフォン向け美少女アクションゲームがあった。2017年4月にディー・エヌ・エーがリリースした同作は売上が伸びず半年でコスト削減を命じられる状況に陥った。

photo 「天華百剣 -斬-」

 しかし、同作がサービス終了したのは21年8月。なぜそこまで生き永らえたのか──その舞台裏を同社プロデューサーのナカムラケンタロウさんが、ゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC 2022」(8月23日〜25日開催)で語った。

 ナカムラさんが最も大事にしたのは「未来への期待感」だった。

収益計画が破綻、宣伝も制限、コンテンツ提供もままならず……

photo ディー・エヌ・エーのナカムラケンタロウさん(ゲーム事業本部)

 天華百剣 -斬-は「美少女剣撃アクションゲーム」としてKADOKAWAとDeNAが共同で作り上げた、いわゆる“キャラゲー”だ。17年4月に公開したものの、夏ごろにはユーザー数と売上が激減。秋ごろには運営・開発コストの削減を求められるまでに落ち込んだ。

 ナカムラさんは11月にプロジェクトに参加し、18年4月から2代目プロデューサーとして動き始めた。サービス終了の判断ポイントは18年夏と聞いていたという。

 同作はマネタイズ計画が破綻し、毎月8体の新キャラを追加する予定が、コスト削減によりリリース数は月間4キャラに。新ボスやステージの追加計画も頓挫した。ユーザー間で競い合う仕組みを作らない方針により新コンテンツ追加も難しく、ゲームデザインや法務の関係で“ガチャ”以外の収益の柱も用意できなかった。

 その上「大掛かりなプロモーションをしても十分な効果を得られない」として派手な宣伝もできなかったという。

photo 「天華百剣 -斬-」を襲った困難3選

 背景にはスマホの通信容量の増加やバーチャルYouTuberの登場もあったという。リリース当初は、スマホゲームが通勤時間などの隙間時間を埋める役割を持っていた。しかし、動画サブスクリプションサービスが広まりいつでもアニメなどが見られるようになった他、18年にはVTuberが流行し始め、その役割が移行していった。

 ゲームは月間数回しかイベントなどのコンテンツ投入ができない一方で、アニメはいつでも見られるようになり、VTuberは毎週数時間の動画が投稿されるようになった。

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