KDDIの通信障害や円安によるiPhoneの値上げなど、波乱が相次いだ2022年の携帯電話業界。だが年間を通して注目され続けたのはやはり楽天モバイルであり、2022年は同社を巡って2つの衝撃的なニュースがあった。
中でも世間をも大きくにぎわせたのが、楽天モバイルの“武器”でもあった“月額0円”の廃止である。同社は2022年5月13日に新料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VII」を発表したのだが。その内容は実質的に、以前の料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」の最大の特徴となっていた、通信料が1GB以下であれば月額0円で利用できる仕組みを廃止した内容だったのだ。
月額0円で利用できる仕組みは消費者から非常に好評で、楽天モバイルの加入者を伸ばす強力な武器となっており、22年4月には携帯電話事業者(MNO)としての契約数が500万を突破している。それだけに、楽天モバイルが突如月額0円の仕組みを止めたことの衝撃は大きく、Rakuten UN-LIMIT VIIのサービス開始は7月からにもかかわらず、発表直後からユーザーが楽天モバイルを解約、あるいは他社の低価格サービスに乗り換える動きが相次いだ。
その結果、楽天モバイルの契約数は22年9月末時点で455万と、4月時点からおよそ45万もの契約を減らすに至っている。新料金プラン移行後も実質0円で利用できるキャンペーン施策が10月末まで実施されていたことから、流出はその時期まで続いたものと見られ、月額0円施策の廃止が与えた衝撃がいかに大きかったかを物語っている。
だが月額0円施策の終了後、楽天モバイルが公表したARPU(Average Revenue Per User、1ユーザー当たりの平均売上)を見ればそれも止む無しというのも正直な所である。22年7〜9月のARPUは1472円と、他3社のARPUが4000円前後であることを考えると少ない印象を受けるのだが、その1年前となる21年7〜9月のARPUはわずか453円。他社よりARPUが1桁低い状況が長く続いていたのだ。
もちろんそれは、加入者獲得のための先行投資という側面も大きかったのだろうが、そこまで低いARPUが続いていたとなると、毎月0円で運用することを前提に契約するユーザーが楽天モバイルが見込んだ以上に多かったと言わざるを得ない。それを他の事業とのシナジーだけでカバーできなかったことから月額0円施策を止めざるを得なかったというのが正直な所ではないだろうか。
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