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» 2023年02月14日 12時30分 公開

Microsoft vs. Google、「チャット検索」競争勃発 “会話で調べる”は今後主流になるのか(1/3 ページ)

米Microsoftと米Googleで始まったチャットAIを使った検索サービス競争。これまでのキーワード検索から、会話して調べる「チャット検索」は主流になるのだろうか。

[西田宗千佳ITmedia]

 2月7日(現地時間)、米Microsoftは検索エンジン「Bing」と、Webブラウザ「Edge」の大規模アップデートを発表した。中核となるのは、Open AIの大規模言語モデルを使った「チャット」「要約」などの機能だ。

新しい「Bing」と「Edge」
新しいBingなどの発表会に登壇した、Microsoftのサティア・ナデラCEO

 一方Googleは、2月8日(ヨーロッパ中部時間)にパリで会見を開き、多数の検索サービスを発表している。

パリで発表する、Google検索技術の責任者で同社SVPのプラバカール・ラガヴァン氏

 ただ、両者の方向性はかなり異なり、トレンドへの対応という意味では、Microsoftが先行している状況である。両者の違いを改めてまとめ、「AIが検索に寄与する時代」を考察する。

全ては「ChatGPTフィーバー」から始まった

 2022年11月末以降、Open AIの「ChatGPT」が大きな話題となっている。ChatGPTはOpen AIが作った大規模言語モデル「GPT-3.5」をベースに、チャットの形で人と交わしたコミュニケーションから、質問の答えや旅行プランの作成、詩や小説の作成などを行う。

ChatGPT。チャットで質問すると、その内容をもとに文章を作成してくれる。それが「質問に答えてくれる」ように見えることもある

 もちろんこれは「汎用的な知性」ではない。GPT-3.5に蓄積された、「2021年までのネット上にある各種の情報」から、入力されたチャットの内容をもとに文章を生成する技術である。そういう意味から、ChatGPTも、MidjourneyやStable Diffusionと同じく「ジェネレーティブ(生成型)AI」と呼ばれている。

 ジェネレーティブAIは非常に高い可能性を持つ技術だが、今回は本論ではないので省く。

 重要なのは、多くの人が「ChatGPTが生み出した文章が、人間以上に賢い答えを返していると感じられる時がある」ことだ。

 従来のネット検索は、自分で検索キーワードを決め、それを元にした情報がリストアップされる、という形だった。そこからどんな情報を読んで、どう判断するかは人間の仕事だった。

 だがジェネレーティブAIを使った場合、検索結果は文章としてまとまった形に「生成」されるので、それを読めばいい。さらに、内容に疑問があったりもう少し詳しく聞きたい場合、チャットで追加質問をすればいい。ネット検索が「人間に質問しているような形」に変わることが、1つの大きな変化だといえる。

 一方前述のように、実際にはChatGPTは知性ではなく、自分が学習したモデルからそれらしい答えを返しているにすぎない。ChatGPTは現状、2021年以降の情報を学習していないし、チャットとして返した内容の正しさについて担保しているわけでもない。「ChatGPTはウソをつく」といわれるが、そもそもそれをウソだとも判断していないのである。

 AIやコンピュータは正しい答えを出すもの、というのはフィクションなどの描写から感じる思い込みであり、「正しさ」はまた別の形で担保する必要がある。

 ChatGPTも、1月末の改良を経て、あからさまに「存在していない情報を盛って出す」比率は減ってきた。だがそれでも、内容をちゃんと精査しないと、回答をそのまま使うのは難しい。それは、ネット検索自体が持っていた本質から何も変化していない。

 すなわち、チャットAIによる検索は「検索の変化」というより「検索のためのユーザーインタフェースの変化」なのだ。

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