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何かと話題になるタワマン、防災は今どうなっているのか?デジタル防災を始めよう(1/5 ページ)

» 2023年03月04日 11時46分 公開
[戸津弘貴ITmedia]

 2月にトルコとシリアの国境付近で発生したM7.8の地震では10階建て前後のビルが多く倒壊した。阪神淡路大震災の約22倍といわれる地震エネルギーにより「パンケーキクラッシュ」(層崩壊)と呼ばれる建物全体が真下に崩壊する現象が多発して被害を拡大させたと報道されている。

タワーマンションで行われた安否確認の訓練の様子(後述)

 日本の高層マンションなどには厳しい建築基準、耐震基準があり倒壊する危険性はほぼないといわれる。事実、震度7を記録した東日本大震災でも昭和56年(1981年)以降の新耐震基準を満たしたマンションや商業ビルなどは倒壊しなかった(大破0棟、中破44棟、高層住宅管理業協会調べ)。

 それでも大きな地震や台風などの災害が発生した時にはエレベーターが止まったり、停電したり、給排水に支障が出たりと様々な不便が生じる。超高層マンションの場合、それが極めて大きな障害になることも。2019年の台風被災で注目を集めた武蔵小杉の事例も記憶に新しいと思う。

 では、現在マンションのデベロッパーや関連企業はタワーマンションの防災についてどう考え、対策しているのだろうか。

非常電源やポンプは水に浸からない場所に

東京ガスの防災イベント「トイレの防災を考えよう」では被災時のトイレについて多くの気づきがあった

 日本の新築物件は災害や事故があるたび、以降に建築される建物は対策が進むといわれている。毎年のように起こる台風被害や東日本大地震での津波被害を受け、現在デベロッパーは浸水が予想される物件の場合、非常電源設備や排水ポンプなどの機械設備を地下でなくハザードマップで確認される最大浸水高以上の部分に設置するようになった。何らかの理由で2階以上に設置できない場合は「浸水扉」(室内に水を漏らさない“水密性能”や圧力に耐える“耐水圧性能”を持つ扉)を設ける場合もある。

 それでも停電や上下水道の破損などでインフラが停止した場合には水が出ない、トイレが使えないといった状況は発生する。

 東京ガスが開催した防災イベント「トイレの防災を考えよう」では、災害時に生じるトイレの問題を紹介し、事前の備えなどの対策を紹介した。

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