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何かと話題になるタワマン、防災は今どうなっているのか?デジタル防災を始めよう(2/5 ページ)

» 2023年03月04日 11時46分 公開
[戸津弘貴ITmedia]

 イベント開催のきっかけは、東京ガスの職員が東日本大震災の復旧支援(ガス管の復旧支援)として現地に派遣された際、マンションや商業施設のトイレがあふれたり、仮設トイレが使用不可能な状態になっている状態に遭遇した経験から災害時のトイレの問題を強く認識したためという。

大地震が起きると水洗トイレの設備はどうなる?

 マンションなどの集合住宅では災害時に排水管の破損が生じることがある。しかし配水管は壁の内側にあるため破損しているかどうか目視できない。そのような状況で上層階の人が水洗トイレを使用した(流した)場合、破損したり詰まった排水管付近の階でトイレから汚水が逆流するなどの被害が生じてしまう。

 このため災害時は排水管の点検が完了するまで水を流してはいけない(水洗トイレとしては使えない)。ただし東京ガスによると「トイレの空間を非常用トイレとして活用することはできる」という。つまりトイレの便器に非常用トイレをセットして使うのだ。必要数は、1人当たり1日5回分を想定している。

トイレの空間を非常用トイレとして活用できる

水道とエレベーターはどうなる

 水道管についても復旧には水道局などによる点検が必要で、マンションの建物自体は無事でも再開までに時間がかかる場合はある。国や自治体が発表している災害ごとの被害想定と復旧日数の目安が示すのは公共エリア(道路に埋まっている水道局が管理する配管)までの話で、建物の設備が使用できるのは個別の検査が終わってからとなる。

 エレベーターに関しては、一部の例外を除いて非常停止後はメンテナンスを経てからでないと復旧はしないのが普通だ。デベロッパーは、「エレベーターのメンテナンスを担当する企業は別にあるため、復旧までの時間に関しては、なんともいえないのが現状」と話す。

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